健康教育に際しての高HDL・高総コレステロール血症の取り扱いについて

健康教育や健康診断事後指導に際して,高総コレステロール・高HDL血症例と正常総コレステロール・低HDL血症例をいかに扱うべきかを,8年間の追跡調査より検討した。 1992年および1993年に実施した職域健康診断の初診者で,総コレステロール≧260mg/dlかつHDL≧70mg/d1の例(30例,A群)と総コレステロール<220mg/dlかつHDL<40mg/dlの例(256例,B群)について健診成績を比較するとともに,2000年まで追跡できたA群10例とB群133例については健診成績の変化と動脈硬化性疾患の発症状況を調査した。調査開始当初の健診成績では,BMIや中性脂肪,動脈硬化指...

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Published in健康医学 Vol. 17; no. 3; pp. 354 - 357
Main Authors 辰田, 仁美, 高木, 伴幸, 細, 隆信, 垣本, 哲宏, 保脇, 敬子, 河島, 明, 近藤, 溪, 菊岡, 弘芳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2002
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN0914-0328
2186-5019
DOI10.11320/ningendock1986.17.354

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Summary:健康教育や健康診断事後指導に際して,高総コレステロール・高HDL血症例と正常総コレステロール・低HDL血症例をいかに扱うべきかを,8年間の追跡調査より検討した。 1992年および1993年に実施した職域健康診断の初診者で,総コレステロール≧260mg/dlかつHDL≧70mg/d1の例(30例,A群)と総コレステロール<220mg/dlかつHDL<40mg/dlの例(256例,B群)について健診成績を比較するとともに,2000年まで追跡できたA群10例とB群133例については健診成績の変化と動脈硬化性疾患の発症状況を調査した。調査開始当初の健診成績では,BMIや中性脂肪,動脈硬化指数はB群で高いが,血圧やLDLはA群で有意に高かった。8年間の追跡調査ではA群ではLDLが低下,B群では総コレステロール,HDL,LDLが上昇した。血圧やBMIは両群とも有意の変化はなかった。しかしながら動脈硬化性疾患はA群では2例(20%),B群では5例(3.76%)発症し,A群で有意に多く,他の危険因子の少ない状況下での発症であった。また新たに高血圧の治療を開始した例もA群で有意に多かった。 以上より,総コレステロールの高い例は,たとえHDLが高くても動脈硬化がより強く進展すると考えられ,高総コレステロールに対する生活指導を優先すべきと言えよう。
ISSN:0914-0328
2186-5019
DOI:10.11320/ningendock1986.17.354