小児骨盤輪骨折の1例

今回,我々は非常に稀な小児の骨盤輪骨折を経験したので報告する.症例は9才男児,停車中の軽自動車の後ろで遊んでいたところ,車の下敷きとなり当院へ救急搬送された.骨盤部CTを施行したところ左仙腸関節脱臼骨折及び後腹膜内出血を認めた.緊急血管造影を施行したが,明らかな動脈性出血は認めなかった.仙腸関節脱臼の離開は軽度であり,患側からのスポンジ牽引と骨盤部固定装具を装着し保存的治療を行った.受傷2週目より仙腸関節近傍に仮骨を認めた.受傷10週目より全荷重で歩行を開始したが骨盤部に疼痛の残存なく,自宅退院した.仙腸関節脱臼は一般的に骨折ではないため仮骨による骨癒合は起こりにくいと言われている.しかし,今...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 59; no. 3; pp. 578 - 580
Main Authors 藤田, 秀一, 田山, 尚久, 平野, 薫, 里村, 匡敏, 木村, 岳弘, 田中, 孝明, 香月, 一朗, 松本, 淳志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2010
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.59.578

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Summary:今回,我々は非常に稀な小児の骨盤輪骨折を経験したので報告する.症例は9才男児,停車中の軽自動車の後ろで遊んでいたところ,車の下敷きとなり当院へ救急搬送された.骨盤部CTを施行したところ左仙腸関節脱臼骨折及び後腹膜内出血を認めた.緊急血管造影を施行したが,明らかな動脈性出血は認めなかった.仙腸関節脱臼の離開は軽度であり,患側からのスポンジ牽引と骨盤部固定装具を装着し保存的治療を行った.受傷2週目より仙腸関節近傍に仮骨を認めた.受傷10週目より全荷重で歩行を開始したが骨盤部に疼痛の残存なく,自宅退院した.仙腸関節脱臼は一般的に骨折ではないため仮骨による骨癒合は起こりにくいと言われている.しかし,今回の症例は小児であり受傷早期より仮骨を認め,疼痛の残存無く治癒した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.59.578