肺塞栓症に対する予防治療の施行時期について考えさせられた脳出血の1例

脳出血による片麻痺を呈する43歳,男性,入院日より間歇的空気圧迫法(IPC)とリハビリテーションを開始した.第4病日にIPCの不快感を訴え,IPCを中止した.第14病日に肺塞栓症(PE)を来した.海外では脳出血後の深部静脈血栓症(DVT)/PEに対し,IPCの予防効果や第2病日からのヘパリン投与の安全性と有効性が報告されているが,アジア人を対象とした報告はない.また,第3病日以降のヘパリン投与は予防効果を認めないことや,第33病日でのPE発症例が報告されており,超急性期から少なくとも約1カ月間の予防治療継続と評価の重要性を示唆している.本症例では,第4病日でのIPC終了は時期尚早であり,IPC...

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Published in脳卒中 Vol. 34; no. 5; pp. 346 - 350
Main Authors 前田, 裕史, 中西, 啓太, 平田, 浩二, 亀崎, 高夫, 松村, 明, 片山, 亘, 高橋, 利英, 藤田, 桂史, 小石沢, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2012
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.34.346

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Summary:脳出血による片麻痺を呈する43歳,男性,入院日より間歇的空気圧迫法(IPC)とリハビリテーションを開始した.第4病日にIPCの不快感を訴え,IPCを中止した.第14病日に肺塞栓症(PE)を来した.海外では脳出血後の深部静脈血栓症(DVT)/PEに対し,IPCの予防効果や第2病日からのヘパリン投与の安全性と有効性が報告されているが,アジア人を対象とした報告はない.また,第3病日以降のヘパリン投与は予防効果を認めないことや,第33病日でのPE発症例が報告されており,超急性期から少なくとも約1カ月間の予防治療継続と評価の重要性を示唆している.本症例では,第4病日でのIPC終了は時期尚早であり,IPC終了に際して,下肢静脈エコーで無症候性DVTの有無を評価すべきであり,弾性ストッキングの代用や低用量ヘパリンの投与を検討すべきであった.また,脳出血後のDVT/PE予防に関する日本人のエビデンスの構築が待たれる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.34.346