難治性中耳炎に対する診断と治療

「1. 難治性中耳炎とは?」成人における急性ないし慢性中耳炎は, 種々の保存的治療や外科的治療, すなわち鼓室形成術等で症状を改善に導くことが可能である. しかしこれらとは臨床像や病態が異なる難治性中耳炎も存在する. 難治性中耳炎の特徴としては以下が挙げられる. 1) 従来の中耳炎に対する保存的治療(抗菌薬投与, 鼓膜切開, 鼓膜チューブ留置, 等)に抵抗する, 2) 診断がつきにくい, 3) 再燃・再発をくりかえす, 4) 手術療法で完治しない, 5) 合併症を引き起こす(内耳障害, 顔面神経麻痺, 等). このような難治性中耳炎と考えられる疾患を表1に示す. これらについて以下にその病態,...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 9; pp. 1160 - 1163
Main Author 飯野, ゆき子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2015
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.118.1160

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Summary:「1. 難治性中耳炎とは?」成人における急性ないし慢性中耳炎は, 種々の保存的治療や外科的治療, すなわち鼓室形成術等で症状を改善に導くことが可能である. しかしこれらとは臨床像や病態が異なる難治性中耳炎も存在する. 難治性中耳炎の特徴としては以下が挙げられる. 1) 従来の中耳炎に対する保存的治療(抗菌薬投与, 鼓膜切開, 鼓膜チューブ留置, 等)に抵抗する, 2) 診断がつきにくい, 3) 再燃・再発をくりかえす, 4) 手術療法で完治しない, 5) 合併症を引き起こす(内耳障害, 顔面神経麻痺, 等). このような難治性中耳炎と考えられる疾患を表1に示す. これらについて以下にその病態, 診断, 治療を述べる. 「2 . 高度耳管機能障害による中耳炎」耳管機能障害の中でも耳管の器質的障害, 特に耳管狭部で耳管の内腔が高度に狭窄している場合はコレステリン肉芽腫症が生じる. 何らかの機序で中耳内に出血が起こり, 血漿成分からコレステリンが折出する.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.118.1160