熱傷後に発症した異所性骨化による両肘関節拘縮の治療経験

25歳男性.灯油引火による上半身熱傷(両上肢III度熱傷,体幹・顔面II度)に対して,減張切開・創傷処置・植皮術を複数回施行された.受傷後5カ月で肘関節拘縮に対して当科紹介となる.可動域は右肘40°―50°,左肘45°―50°であり,単純XpおよびCTにおいて,上腕骨内側上顆後方から肘頭にかけての異所性骨化を認めた.併発した腎炎の治療を行い,症状が安定した受傷後16カ月で右肘関節,受傷後19カ月で左肘関節の関節授動術を行った.内側アプローチにて尺骨神経を剥離後,内側上顆を切除し,後斜走靱帯を切離した.外側アプローチも追加し,後方の骨化部分を切除した.術後肘装具を使用し可動域訓練を行い,両肘関節...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 59; no. 2; pp. 220 - 223
Main Authors 入江, 弘基, 水田, 博志, 山下, 武士, 石井, 一誠, 米村, 憲輔, 加藤, 悌二, 瀬形, 建喜, 岩本, 克也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2010
Subjects
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.59.220

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Summary:25歳男性.灯油引火による上半身熱傷(両上肢III度熱傷,体幹・顔面II度)に対して,減張切開・創傷処置・植皮術を複数回施行された.受傷後5カ月で肘関節拘縮に対して当科紹介となる.可動域は右肘40°―50°,左肘45°―50°であり,単純XpおよびCTにおいて,上腕骨内側上顆後方から肘頭にかけての異所性骨化を認めた.併発した腎炎の治療を行い,症状が安定した受傷後16カ月で右肘関節,受傷後19カ月で左肘関節の関節授動術を行った.内側アプローチにて尺骨神経を剥離後,内側上顆を切除し,後斜走靱帯を切離した.外側アプローチも追加し,後方の骨化部分を切除した.術後肘装具を使用し可動域訓練を行い,両肘関節とも0―140°の可動域を獲得している.日常生活動作は自立し,患者満足度は高かった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.59.220