RI内用療法の将来展望と提言

「要旨」 : 我が国では急激な甲状腺癌の増加やRI内用療法施設の実稼働ベッド数の減少などから, RI内用療法施設への入院待ち待機時間が延長し地域格差が広がっており, その現状はがん対策推進基本計画がめざす「医療の均てん化」とはほど遠い状況にある. 2015年国会においてRI内用療法に関連する質問主意書が提出され, これに対しRI内用療法は重点的に取り組むべき課題であるとの政府答弁がなされており, 今後の研究・診療の推進等が期待されている. 本稿では医療経済的考察も含めて我が国におけるRI内用療法の現状と問題点をとりまとめ, 甲状腺癌の将来的な疾病状況を予測の上, これに対応可能なRI内用療法環...

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Published in核医学 Vol. 53; no. 1; pp. 27 - 43
Main Authors 東達也, 池渕秀治, 内山眞幸, 織内昇, 絹谷清剛, 細野眞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本核医学会 2016
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ISSN0022-7854
DOI10.18893/kakuigaku.ra.1601

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Summary:「要旨」 : 我が国では急激な甲状腺癌の増加やRI内用療法施設の実稼働ベッド数の減少などから, RI内用療法施設への入院待ち待機時間が延長し地域格差が広がっており, その現状はがん対策推進基本計画がめざす「医療の均てん化」とはほど遠い状況にある. 2015年国会においてRI内用療法に関連する質問主意書が提出され, これに対しRI内用療法は重点的に取り組むべき課題であるとの政府答弁がなされており, 今後の研究・診療の推進等が期待されている. 本稿では医療経済的考察も含めて我が国におけるRI内用療法の現状と問題点をとりまとめ, 甲状腺癌の将来的な疾病状況を予測の上, これに対応可能なRI内用療法環境を提示し, 欧米諸国の現状との比較も交えて, 我が国のRI内用療法のあるべき将来像を見据えた提言を行う. 「はじめに」放射性同位元素内用療法 (以下, RI内用療法) は放射性同位元素を組み込んだ薬剤を経口的あるいは経静脈的に投与し, 標的臓器や標的悪性腫瘍に対して体内での放射線照射により治療効果をもたらす放射線治療である.
ISSN:0022-7854
DOI:10.18893/kakuigaku.ra.1601