閉塞脳主幹動脈の再開通後にdiffusion-perfusion mismatchの遷延が認められた1例

症例は67歳男性.発症35分で救急搬送され,JCS 3,左共同偏視,全失語,右上下肢完全麻痺を認めた.心電図で心房細動を認めた.MRIでは左前大脳動脈(ACA)領域および左中大脳動脈(MCA)と左後大脳動脈の境界域に脳梗塞を認めた.MRAおよびCTAで左ACA閉塞を認めた.左MCAに閉塞性病変は認められなかった.CT perfusionでは左ACA領域のみならず左MCA領域でもMTTが延長していた.t-PA静注療法を計画したが,PT-INR 1.88が禁忌項目に該当したため,ヘパリン,ワーファリンで加療した.入院翌日には症状は軽快し,MRAで左ACAの再開通を認めた.発症早期にみられるdiff...

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Published in脳卒中 Vol. 34; no. 4; pp. 243 - 248
Main Authors 上山, 憲司, 杉尾, 啓徳, 中村, 博彦, 遠藤, 英樹, 中川原, 譲二, 渡邉, 健太郎, 浅野目, 卓, 山口, 陽平, 本庄, 華織, 前田, 理名
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2012
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.34.243

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Summary:症例は67歳男性.発症35分で救急搬送され,JCS 3,左共同偏視,全失語,右上下肢完全麻痺を認めた.心電図で心房細動を認めた.MRIでは左前大脳動脈(ACA)領域および左中大脳動脈(MCA)と左後大脳動脈の境界域に脳梗塞を認めた.MRAおよびCTAで左ACA閉塞を認めた.左MCAに閉塞性病変は認められなかった.CT perfusionでは左ACA領域のみならず左MCA領域でもMTTが延長していた.t-PA静注療法を計画したが,PT-INR 1.88が禁忌項目に該当したため,ヘパリン,ワーファリンで加療した.入院翌日には症状は軽快し,MRAで左ACAの再開通を認めた.発症早期にみられるdiffusion-perfusion mismatchは脳主幹動脈の閉塞を必ずしも意味しないことを示唆しており,常に脳血管画像所見を加味して,どのような脳虚血病態であるかを総合的に判定する必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.34.243