扁桃摘出術が臨床的寛解に寄与したと思われた膜性増殖性糸球体腎炎の1 例

扁桃腺炎を契機に尿所見の増悪を認めた膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis: MPGN)に対し扁桃摘出術を施行し,臨床的,および免疫組織学的に有効であった1 例を経験した.症例は21 歳の女性.11 歳時に溶連菌感染後糸球体腎炎を発病し,経過観察されていたが,5 か月を経過しても尿所見と低補体血症の改善がなく,腎生検によりMPGN Type I と診断した.その後,メチルプレドニゾロン・パルス療法を3 クール施行後,多剤併用療法(PSL+MZR+ACEI+ARB)にて軽快した.12 歳頃より再び尿所見の増悪と低補体血症を呈した.扁...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 118 - 123
Main Authors 宮崎, 紘平, 塩谷, 拓嗣, 杉本, 圭相, 岡田, 満, 竹村, 司, 宮沢, 朋生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2019
日本小児腎臓病学会
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.cr.2018.0145

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Summary:扁桃腺炎を契機に尿所見の増悪を認めた膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis: MPGN)に対し扁桃摘出術を施行し,臨床的,および免疫組織学的に有効であった1 例を経験した.症例は21 歳の女性.11 歳時に溶連菌感染後糸球体腎炎を発病し,経過観察されていたが,5 か月を経過しても尿所見と低補体血症の改善がなく,腎生検によりMPGN Type I と診断した.その後,メチルプレドニゾロン・パルス療法を3 クール施行後,多剤併用療法(PSL+MZR+ACEI+ARB)にて軽快した.12 歳頃より再び尿所見の増悪と低補体血症を呈した.扁桃腺炎の反復のたびに,尿所見の増悪と低補体血症を認めていた.17 歳時に慢性扁桃腺炎に対する扁桃摘出術を施行後,検査所見は改善し,病態が安定した.18 歳時の腎生検で,免疫組織学的にも改善を認めた.反復する扁桃腺炎により臨床所見の増悪を認める難治性MPGN に対して,扁桃摘出術は有効な追加治療となる可能性がある.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.2018.0145