常染色体優性多発性囊胞腎に紫斑病性腎炎を合併した1 例

今回,我々は紫斑病性腎炎を合併した常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease: ADPKD)の1 症例を経験した。症例は7 歳の女児。溶連菌感染から3 週間後に,下腿の微小出血斑と関節痛が出現し,Henoch-Schönlein 紫斑病と診断された。安静のみで症状は改善したが,紫斑病の発症から8 週後の尿検査で尿蛋白,尿潜血がみられたことから,紫斑病性腎炎が疑われた。また,ADPKD の家族歴があり,腹部MRI で両側腎に多数の囊胞を認めたことから,ADPKD と診断した。全身麻酔下で外科的腎生検を行い,紫斑病性腎炎Int...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 45 - 48
Main Authors 西, 一美, 塩谷, 拓嗣, 岡田, 満, 宮沢, 朋生, 永田, 知裕, 杉本, 圭相, 竹村, 司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2016
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.cr.2015.0083

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Summary:今回,我々は紫斑病性腎炎を合併した常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease: ADPKD)の1 症例を経験した。症例は7 歳の女児。溶連菌感染から3 週間後に,下腿の微小出血斑と関節痛が出現し,Henoch-Schönlein 紫斑病と診断された。安静のみで症状は改善したが,紫斑病の発症から8 週後の尿検査で尿蛋白,尿潜血がみられたことから,紫斑病性腎炎が疑われた。また,ADPKD の家族歴があり,腹部MRI で両側腎に多数の囊胞を認めたことから,ADPKD と診断した。全身麻酔下で外科的腎生検を行い,紫斑病性腎炎International Study of Kidney Disease in Children(ISKDC)分類Grade IIIb と診断した。カクテル療法を実施して,臨床的寛解が得られたため,54 病日に退院となった。これまでにADPKD に紫斑病性腎炎を合併した報告例は我々が検索した限り存在せず,今後の腎機能の推移について,長期的な注意深い経過観察が必要と考えられた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.2015.0083