遠視の屈折矯正を行った弱視と内斜視の眼軸長と脈絡膜厚の変化

【目的】眼鏡装用により遠視の屈折矯正を行っている幼児の眼軸長と脈絡膜厚の変化について調査したので報告する。【方法】対象は弱視または内斜視に対する治療目的で、遠視または遠視性乱視の矯正眼鏡を装用している幼児18名36眼である。3歳時と4歳時に行った1%アトロピン点眼1日2回7日間の調節麻痺下屈折検査にあわせて、光学的生体測定装置で眼軸長と角膜曲率半径を測定した。同時に光干渉断層計により中心窩下脈絡膜厚を測定した。【結果】3歳時と4歳時の変化量は、等価球面屈折値は+0.32±0.55D、眼軸長は+0.19±0.17mm、角膜曲率半径は+0.02±0.03mm、中心窩下脈絡膜厚は+10±27μmであ...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 47; pp. 225 - 231
Main Authors 佐藤, 千尋, 笠井, 彩香, 石龍, 鉄樹, 橋本, 禎子, 森, 隆史, 齋藤, 章子, 新田, 美和, 松野, 希望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2018
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.047F123

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Summary:【目的】眼鏡装用により遠視の屈折矯正を行っている幼児の眼軸長と脈絡膜厚の変化について調査したので報告する。【方法】対象は弱視または内斜視に対する治療目的で、遠視または遠視性乱視の矯正眼鏡を装用している幼児18名36眼である。3歳時と4歳時に行った1%アトロピン点眼1日2回7日間の調節麻痺下屈折検査にあわせて、光学的生体測定装置で眼軸長と角膜曲率半径を測定した。同時に光干渉断層計により中心窩下脈絡膜厚を測定した。【結果】3歳時と4歳時の変化量は、等価球面屈折値は+0.32±0.55D、眼軸長は+0.19±0.17mm、角膜曲率半径は+0.02±0.03mm、中心窩下脈絡膜厚は+10±27μmであった。眼軸長と等価球面屈折値の変化量に強い負の相関を認めた(r=-0.80, p<0.01)。等価球面屈折値と中心窩下脈絡膜厚の変化量には有意な相関は認めなかった(r=0.15, p=0.38)。眼軸が伸長するほど中心窩下脈絡膜厚が減少する傾向が認められたが相関性は低かった(r=-0.29, p=0.08)。【結論】弱視と内斜視の幼児においては遠視の矯正眼鏡装用により、一律に眼軸長と脈絡膜厚が変化することはなかった。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.047F123