通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動に影響を及ぼす要因の検討

【目的】我々は先行研究で、通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動は短いサッケード距離で頻繁に停留を繰り返すという特徴があることを確認した。本研究では、通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした。【対象及び方法】通常学級に在籍する小学4・5年の読み困難児6名と健常な読み能力をもつ児(以下、対照児)39名を対象に、視機能検査、視知覚技能検査を行った。視機能検査では、視力、屈折、調節効率、立体視、眼位、輻湊近点、眼球運動を測定した。さらに、音韻認識力、音読における自動化能力を評価するために、それぞれ単語逆唱課題、Rapi...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 47; pp. 123 - 130
Main Authors 齋藤, 真之介, 有安, 正規, 岡野, 真弓, 内川, 義和, 田村, 省悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2018
日本視能訓練士協会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.047F110

Cover

More Information
Summary:【目的】我々は先行研究で、通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動は短いサッケード距離で頻繁に停留を繰り返すという特徴があることを確認した。本研究では、通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした。【対象及び方法】通常学級に在籍する小学4・5年の読み困難児6名と健常な読み能力をもつ児(以下、対照児)39名を対象に、視機能検査、視知覚技能検査を行った。視機能検査では、視力、屈折、調節効率、立体視、眼位、輻湊近点、眼球運動を測定した。さらに、音韻認識力、音読における自動化能力を評価するために、それぞれ単語逆唱課題、Rapid Automatized Naming(以下、RAN)課題を実施した。【結果】読み困難児群は対照児群よりもRANの平均所要時間が有意に延長していた。重回帰分析の結果、停留回数、サッケード距離に有意な影響を及ぼす要因としてRANの平均所要時間が抽出された。【結論】通常学級に在籍する読み困難児における文章音読時の眼球運動には、自動化能力が影響していることが示唆された。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.047F110