短距離走における腕振りの方向に関する横断的研究

「I 緒言」 短距離走において, タイムを短縮させるためには, 最大速度局面における疾走速度を高めることが最も重要な要因(松尾ほか, 2010)であり, これまでのバイオメカニクス的な研究により疾走速度が高い者の特徴が明らかにされている. 例えば疾走速度の高いスプリンターの特徴として, 伊藤ほか(1998)は脚全体の後方スイング速度が高いこと, キック時に膝関節および足関節の伸展が少ないことを報告し, 矢田ほか(2011)は世界一流選手の特徴として, 支持期における膝関節の屈伸や足関節の底背屈が小さいこと, 離地時に支持脚大腿部の後方への変位が小さいこと, および接地時に遊脚大腿部がより前方ま...

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Published in体育学研究 Vol. 64; no. 2; pp. 719 - 729
Main Authors 比留間, 浩介, 苅山, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 16.12.2019
日本体育学会
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.19005

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Summary:「I 緒言」 短距離走において, タイムを短縮させるためには, 最大速度局面における疾走速度を高めることが最も重要な要因(松尾ほか, 2010)であり, これまでのバイオメカニクス的な研究により疾走速度が高い者の特徴が明らかにされている. 例えば疾走速度の高いスプリンターの特徴として, 伊藤ほか(1998)は脚全体の後方スイング速度が高いこと, キック時に膝関節および足関節の伸展が少ないことを報告し, 矢田ほか(2011)は世界一流選手の特徴として, 支持期における膝関節の屈伸や足関節の底背屈が小さいこと, 離地時に支持脚大腿部の後方への変位が小さいこと, および接地時に遊脚大腿部がより前方まで回復されていたことなどを報告している. また, 一流スプリンターだけではなく, 小学生や一般高校生を対象とした研究も行われており, 疾走速度が高い者の特徴として地面に接地していない脚(遊脚)の腿上げ角度が高いことや遊脚の膝関節がより屈曲していることなどが明らかにされている(加藤ほか, 2001; 加藤・宮丸, 2006).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.19005