「緩和ケアチームと麻酔科医の関わり」によせて
緩和ケアが語られるとき, 以前は麻酔科医が中心的役割を担っていた. 特にその黎明期に, オピオイドについて造詣の深い医師として, さらに(神経破壊的)神経ブロックという画期的な治療手段を駆使する医師として, 麻酔科医は大きな存在感を示した. しかし近年, がん性疼痛のマネジメントは全診療科的に行われるべきという考えのもと, がんを診る医師の間でオピオイドを含む薬物療法が急速に普及した. このことと, 手術室での業務がさらに繁忙となったことから, 緩和ケアの中での痛みの専門家としての位置付けが希薄になってきた. 現在は緩和ケア専門医が専従し, 集学的なアプローチやチーム医療が当然のこととされてい...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 32; no. 1; p. 32 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
2012
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.32.032 |
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Summary: | 緩和ケアが語られるとき, 以前は麻酔科医が中心的役割を担っていた. 特にその黎明期に, オピオイドについて造詣の深い医師として, さらに(神経破壊的)神経ブロックという画期的な治療手段を駆使する医師として, 麻酔科医は大きな存在感を示した. しかし近年, がん性疼痛のマネジメントは全診療科的に行われるべきという考えのもと, がんを診る医師の間でオピオイドを含む薬物療法が急速に普及した. このことと, 手術室での業務がさらに繁忙となったことから, 緩和ケアの中での痛みの専門家としての位置付けが希薄になってきた. 現在は緩和ケア専門医が専従し, 集学的なアプローチやチーム医療が当然のこととされているが, このような時代の流れを受けて, 緩和ケアチームにおける麻酔科医の存在価値を再確認すべき時が来ているように思われる. 山口大学と福岡大学で行った都道府県, ならびに地域がん診療連携拠点病院を対象に行ったアンケート(253施設, 回収率67%)では, 全施設の56%が緩和ケアチームに麻酔科医が参加しており, その約半数(27%)がチームリーダーを担当していた. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.32.032 |