小児頸部異所性胸腺の1例

小児の頸部腫瘤は, 術前診断に難渋する場合も少なくない. 今回, われわれは乳児期に頸部腫瘤を認め, 5歳時に摘出術を施行し頸部異所性胸腺と診断された症例を経験したので報告する. 症例は5歳男児. 出生後, 心雑音精査の際に右頸部の嚢胞性病変を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 画像検査, 細胞診検査にて確定診断には至らず, 定期的に経過観察とした. 5歳時に, 手術希望があり摘出術を施行した. 病理検査の結果は正常胸腺であった. 異所性胸腺の術前診断は非常に困難であるとされる. 小児の頸部腫瘤の診断には, 胸腺の特徴的な所見を熟知し, 鑑別として異所性胸腺を念頭に置くことが重要であ...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 5; pp. 662 - 667
Main Authors 新井, 宏幸, 疋田, 由美子, 林, 泰広, 梅原, 毅, 岩永, 健, 山口, 裕貴, 袴田, 桂, 大嶋, 吾郎, 鈴木, 克佳, 喜夛, 淳哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2015
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.118.662

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Summary:小児の頸部腫瘤は, 術前診断に難渋する場合も少なくない. 今回, われわれは乳児期に頸部腫瘤を認め, 5歳時に摘出術を施行し頸部異所性胸腺と診断された症例を経験したので報告する. 症例は5歳男児. 出生後, 心雑音精査の際に右頸部の嚢胞性病変を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 画像検査, 細胞診検査にて確定診断には至らず, 定期的に経過観察とした. 5歳時に, 手術希望があり摘出術を施行した. 病理検査の結果は正常胸腺であった. 異所性胸腺の術前診断は非常に困難であるとされる. 小児の頸部腫瘤の診断には, 胸腺の特徴的な所見を熟知し, 鑑別として異所性胸腺を念頭に置くことが重要であると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.118.662