大腿骨近位部骨折の術後に発症した偽膜性大腸炎

整形外科領域において,抗生物質の使用により引き起こされる偽膜性大腸炎は高齢者にとって重要な合併症の一つである. 当科にて2006年9月から2007年8月までに大腿骨近位部骨折に対し手術を行った95症例について調査した.年齢は65歳から98歳,平均80.8歳であった.このうち,偽膜性大腸炎と診断されたものは8症例であった.5例はバンコマイシンおよびメトロニダゾール内服により治癒したが,1例は再発し2例が重症化し死亡した.同時期に同一病棟内で多発した原因は,術後予防的抗菌薬として広域スペクトラムの抗生物質を選択していたことと院内感染の可能性が考えられた....

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 57; no. 4; pp. 544 - 547
Main Authors 寺本, 全男, 河村, 好香, 久我, 尚之, 中川, 憲之, 古谷, 明子, 萩原, 博嗣, 田中, 智顕, 花田, 麻須大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2008
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.57.544

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Summary:整形外科領域において,抗生物質の使用により引き起こされる偽膜性大腸炎は高齢者にとって重要な合併症の一つである. 当科にて2006年9月から2007年8月までに大腿骨近位部骨折に対し手術を行った95症例について調査した.年齢は65歳から98歳,平均80.8歳であった.このうち,偽膜性大腸炎と診断されたものは8症例であった.5例はバンコマイシンおよびメトロニダゾール内服により治癒したが,1例は再発し2例が重症化し死亡した.同時期に同一病棟内で多発した原因は,術後予防的抗菌薬として広域スペクトラムの抗生物質を選択していたことと院内感染の可能性が考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.57.544