詐聴の診断と対策

難聴は器質性難聴と機能性難聴に分けることができる. 器質性難聴は聴器や聴覚路に障害が生じ, 難聴となる. 一方聴器や聴覚路に明らかな障害がないのに難聴が認められる場合, または難聴の程度が聴器や聴覚路の障害と比べ重篤である場合に機能性難聴を考える. 機能性難聴には心因性難聴, 心因性でない機能性難聴, 詐聴に分類される. 幼小児では検査の意味が理解できず, 結果が難聴となることがある. 詐聴は実際には聴こえているが, 難聴を装うもので, 補償が関与していることが多い. 難聴を装うことで自身が利益を得ることが目的である. 身体障害者手帳の診断において, 過去に手帳を取得していない者に対して聴覚障...

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Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 6; pp. 856 - 857
Main Author 小林, 一女
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2017
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.120.856

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Summary:難聴は器質性難聴と機能性難聴に分けることができる. 器質性難聴は聴器や聴覚路に障害が生じ, 難聴となる. 一方聴器や聴覚路に明らかな障害がないのに難聴が認められる場合, または難聴の程度が聴器や聴覚路の障害と比べ重篤である場合に機能性難聴を考える. 機能性難聴には心因性難聴, 心因性でない機能性難聴, 詐聴に分類される. 幼小児では検査の意味が理解できず, 結果が難聴となることがある. 詐聴は実際には聴こえているが, 難聴を装うもので, 補償が関与していることが多い. 難聴を装うことで自身が利益を得ることが目的である. 身体障害者手帳の診断において, 過去に手帳を取得していない者に対して聴覚障害2級の診断をする場合, 聴性脳幹反応検査(ABR)等他覚的検査を実施し, その記録データのコピーを添付する取扱いに変更された. 過去に取得歴があっても検査時に手帳を所持していない場合は他覚的検査をすることが望ましいとされている(障企発0129第1号, 3号, 平成27年).
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.856