高齢者大腿骨遠位端骨折の治療経験

「はじめに」大腿骨遠位端骨折は, 大きく分けて, 青年期における高エネルギー損傷と, 骨粗鬆症を基盤に持つ高齢者における低エネルギー損傷の二つがある. 今回, 我々は, 手術治療を行った高齢者の大腿骨遠位端骨折について検討を行ったので, これを報告する. 対象と方法 対象は, 当院にて, 1993年から2001年までに手術加療を行った70歳以上の顆上骨折を伴う大腿骨遠位端骨折(AO分類のtypeA, C)で, 4ヵ月以上の経過観察を行えたものである. 症例は9例で, 全例女性. 年齢は74歳から90歳までで, 平均年齢は80.2歳. 受傷機転は, 歩行中の転倒が7例, 階段からの転落が1例で,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 3; pp. 638 - 645
Main Authors 岩松, 陽一郎, 三尾母, 英幸, 里村, 匡敏, 松元, 信輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.638

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Summary:「はじめに」大腿骨遠位端骨折は, 大きく分けて, 青年期における高エネルギー損傷と, 骨粗鬆症を基盤に持つ高齢者における低エネルギー損傷の二つがある. 今回, 我々は, 手術治療を行った高齢者の大腿骨遠位端骨折について検討を行ったので, これを報告する. 対象と方法 対象は, 当院にて, 1993年から2001年までに手術加療を行った70歳以上の顆上骨折を伴う大腿骨遠位端骨折(AO分類のtypeA, C)で, 4ヵ月以上の経過観察を行えたものである. 症例は9例で, 全例女性. 年齢は74歳から90歳までで, 平均年齢は80.2歳. 受傷機転は, 歩行中の転倒が7例, 階段からの転落が1例で, 受傷前より対麻痺があった1例は原因不明であった. 開放骨折はなかった. 術前合併症として, 脳出血後の片麻痺が1例, 硬膜外血腫後の対麻痺が1例, 慢性肺気腫が1例あった. 整形外科的な合併症は, 変形性膝関節症が5例, 大腿骨転子部骨折の既往が3例, 足関節外躁骨折1例あった. 骨折型は, AOの分類でA1が4例, A2が1例, A3が1例, C1が1例, C2が2例で, C3はなかった. 内固定法はMay plateが3例, Zickel nailが3例, Intramedullary supracondylar nail(以下IMSC)が3例であった(表1).
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.638