小菱形骨背側脱臼骨折の1例
「はじめに」小菱形骨脱臼, 特に単独脱臼は極めて稀である. 今回私たちは, 小菱形骨単独背側脱臼骨折の1例を経験したのでその発生メカニズムと文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:41才男性, 港湾作業員 主訴:右手の腫脹, 疼痛 現病歴:軽自動車運転中, 急に進路に割り込んできた対向車とハンドルを強く握った状態で正面衝突し受傷した. 現症:右手背部に腫脹, 圧痛と示指MP関節背側部に挫傷(図1-a,b), および手掌部に皮下出血を認めた(図1-c). また, 顔面は打撲により腫脹していた. レ線像:小菱形骨脱臼を認める(図2-a). CT:小菱形骨脱臼骨折を認め, 背側骨片は橈側に回転して...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 2; pp. 366 - 371 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2003
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.52.366 |
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Summary: | 「はじめに」小菱形骨脱臼, 特に単独脱臼は極めて稀である. 今回私たちは, 小菱形骨単独背側脱臼骨折の1例を経験したのでその発生メカニズムと文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:41才男性, 港湾作業員 主訴:右手の腫脹, 疼痛 現病歴:軽自動車運転中, 急に進路に割り込んできた対向車とハンドルを強く握った状態で正面衝突し受傷した. 現症:右手背部に腫脹, 圧痛と示指MP関節背側部に挫傷(図1-a,b), および手掌部に皮下出血を認めた(図1-c). また, 顔面は打撲により腫脹していた. レ線像:小菱形骨脱臼を認める(図2-a). CT:小菱形骨脱臼骨折を認め, 背側骨片は橈側に回転している(図2-b). 経過:徒手整復を試みたが不可能であったため, 受傷後6日目に観血的整復固定術を施行した. 背側アプローチで展開すると小菱形骨背側骨片は遠位橈側に回転し脱臼していた. 示指を遠位に牽引しエレバトリウムを小菱形骨, 舟状骨間に挿入し小菱形骨背側骨片を整復した. 整復した骨片は不安定であったため, 手根骨間靭帯を修復し, Kワイヤー2本で固定した(図3). |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.52.366 |