療養型病院における栄養サポートチームの臨床的および経済的な効果
日本におけるNutrition Support Team (NST)活動は主に急性期病院で行われている. NSTの効果に対する報告は, 急性期病院における報告が多く, 療養型病院における報告は少ない. 本研究は, 療養型病院におけるNSTが臨床面および経営面に及ぼす効果を明らかにするめに, 独立行政法人国立病院機構釜石病院リハビリテーション科に入院中の慢性期リハビリテーション患者を対象として, NST設立前後における栄養状態, 誤嚥性肺炎の発生, 褥瘡の発生および治癒, 医薬品消費額および特別食加算による診療報酬額を評価した. NST稼働1年後の血清アルブミンは, 開始時に比べて有意に高値を示...
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Published in | 医療 Vol. 61; no. 5; pp. 342 - 346 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
2007
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.61.342 |
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Summary: | 日本におけるNutrition Support Team (NST)活動は主に急性期病院で行われている. NSTの効果に対する報告は, 急性期病院における報告が多く, 療養型病院における報告は少ない. 本研究は, 療養型病院におけるNSTが臨床面および経営面に及ぼす効果を明らかにするめに, 独立行政法人国立病院機構釜石病院リハビリテーション科に入院中の慢性期リハビリテーション患者を対象として, NST設立前後における栄養状態, 誤嚥性肺炎の発生, 褥瘡の発生および治癒, 医薬品消費額および特別食加算による診療報酬額を評価した. NST稼働1年後の血清アルブミンは, 開始時に比べて有意に高値を示した. 低アルブミン血症および低体重の患者の割合はNST活動によって減少した. 同様に, 誤嚥性肺炎の発生日数も減少した. NST活動によって褥瘡の発生率は減少し, さらには, 褥瘡の治癒は促進された. 医薬品消費額については, NST開始1年後は開始時に比べて, 年間1人あたり1万円の減少となった. 特別食加算による診療報酬額は, NST開始1年後は開始時に比べて, 年間200万円の増加となった. 以上の結果より, NST活動は臨床成績を向上させ, 病院経営における収支を改善させたことから, 療養型病院においてもNSTが有効であることが示唆された. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.61.342 |