外斜視を伴う患者の白内障手術前後の眼位変化

【目的】外斜視を伴う患者の白内障手術前後の眼位、斜視角、複視の有無の変化について検討した。【対象・方法】北里大学病院にて白内障手術を施行し、術前後に眼位検査を施行した外斜視患者58例、平均年齢68.4±10.5歳。眼位、斜視角の検査は交代プリズムカバーテストにて行い術前後で眼位、斜視角、複視の有無を比較検討した。【結果】術前後の平均水平斜視角、垂直斜視角は遠方、近方ともに有意な変化はなかった。遠近いずれかで水平斜視角が10⊿以上増加した症例は5例であった。斜視角の増加は全例近見で見られ60歳以下の症例であった。遠近いずれかで水平斜視角に10⊿以上減少した症例は8例で、うち4例が60歳以下であり...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 50; pp. 123 - 128
Main Authors 石川, 均, 飯田, 嘉彦, 赤石沢, 智帆, 干川, 里絵, 庄司, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2021
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.50F114

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Summary:【目的】外斜視を伴う患者の白内障手術前後の眼位、斜視角、複視の有無の変化について検討した。【対象・方法】北里大学病院にて白内障手術を施行し、術前後に眼位検査を施行した外斜視患者58例、平均年齢68.4±10.5歳。眼位、斜視角の検査は交代プリズムカバーテストにて行い術前後で眼位、斜視角、複視の有無を比較検討した。【結果】術前後の平均水平斜視角、垂直斜視角は遠方、近方ともに有意な変化はなかった。遠近いずれかで水平斜視角が10⊿以上増加した症例は5例であった。斜視角の増加は全例近見で見られ60歳以下の症例であった。遠近いずれかで水平斜視角に10⊿以上減少した症例は8例で、うち4例が60歳以下であり、この4例は斜視角の減少だけでなく外斜視から外斜位へ眼位改善を認めた。術前に複視があった症例は16例(全体の27.6%)であり、うち10例は術後複視の消失を認めたが、術前に複視がなかった42例中7例は術後に複視を認めた。術前には白内障のため認知できていなかった複視が術後明視可能となることで顕在化したことや、この7例には術後斜視角の増加を認めた症例もあった。【結論】外斜視を伴う白内障症例で白内障術後に眼位や斜視角、複視の有無に変化が生じる症例を認めた。特に60歳以下の症例は白内障術前後で斜視角の変化が生じやすい可能性があるため術前後で斜視検査を施行する必要があると考えられた。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.50F114