ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群で発症し1年後に重症ループス腎炎と診断した3歳男児
2歳時にステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(steroid-resistant nephrotic syndrome: SRNS)で発症し,1年後にループス腎炎と診断した男児を経験した.初回腎生検時には二次性の膜性腎症を疑う所見で,full house patternに近い像を呈していたが,全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)の診断基準を満たさず,ステロイドとアンギオテンシン変換酵素阻害薬,アンギオテンシンII受容体拮抗薬による治療で寛解した.ネフローゼ発症から1年後に高度蛋白尿の再燃とともに血清学的所見も出現し,SLEと診断した.腎生検は...
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          | Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 141 - 147 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本小児腎臓病学会
    
        2022
     日本小児腎臓病学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0915-2245 1881-3933  | 
| DOI | 10.3165/jjpn.cr.2021.0202 | 
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| Summary: | 2歳時にステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(steroid-resistant nephrotic syndrome: SRNS)で発症し,1年後にループス腎炎と診断した男児を経験した.初回腎生検時には二次性の膜性腎症を疑う所見で,full house patternに近い像を呈していたが,全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)の診断基準を満たさず,ステロイドとアンギオテンシン変換酵素阻害薬,アンギオテンシンII受容体拮抗薬による治療で寛解した.ネフローゼ発症から1年後に高度蛋白尿の再燃とともに血清学的所見も出現し,SLEと診断した.腎生検はループス腎炎IV型+V型で,慢性病変が主体であった.ループス腎炎V型はSLEの診断が困難なことがあるが,後にSLEに進展するdelayed SLEは予後不良である.本症例のように,SRNSで発症するdelayed SLEもあるため,SRNSに対する腎生検の重要性は高く,病理所見でループス腎炎V型の可能性が疑われた場合には,尿検査に加え,定期的に血液検査を行い,早期診断につなげる必要があると考えられた. | 
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| ISSN: | 0915-2245 1881-3933  | 
| DOI: | 10.3165/jjpn.cr.2021.0202 |