遠位橈尺関節症に発生した伸筋腱皮下断裂の経験

遠位橈尺関節症に発生した伸筋腱皮下断裂の7例8手について,術前のX線像をもとに検討し,発生素因と発生機序,性差や疼痛の原因などに考察を加えた.個体のもつ素因としてulnar plus varianceと尺骨切痕の背側傾斜があり,これらの頻度の高い男性に腱断裂の発生も多い.本症の多くは尺骨切痕の背側傾斜とplus varianceの尺骨頭に加齢に伴い関節症が生じた結果,腱の滑膜炎,血行障害,機械的摩耗が起こり,断裂が生じる.術前に疼痛を訴える症例が少ない理由は,背側に脱臼した尺骨頭と手根骨間の突き上げ効果が回避されることによる.疼痛があっても軽度であり,腱断裂が生じてから長期を経て受診することが...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 1; pp. 65 - 68
Main Authors 才田, 啓友, 武田, 研, 安永, 博, 渡邊, 伸彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.60.65

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Summary:遠位橈尺関節症に発生した伸筋腱皮下断裂の7例8手について,術前のX線像をもとに検討し,発生素因と発生機序,性差や疼痛の原因などに考察を加えた.個体のもつ素因としてulnar plus varianceと尺骨切痕の背側傾斜があり,これらの頻度の高い男性に腱断裂の発生も多い.本症の多くは尺骨切痕の背側傾斜とplus varianceの尺骨頭に加齢に伴い関節症が生じた結果,腱の滑膜炎,血行障害,機械的摩耗が起こり,断裂が生じる.術前に疼痛を訴える症例が少ない理由は,背側に脱臼した尺骨頭と手根骨間の突き上げ効果が回避されることによる.疼痛があっても軽度であり,腱断裂が生じてから長期を経て受診することが多いため,治療は尺骨頭の処置と腱移行術を主体に再建術が必要となる.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.65