認知機能障害と情動障害に対する早期アプローチが有効であった外傷性脳損傷の2症例
外傷性脳損傷のリハビリテーション(以下, リハ)では, 記銘力障害, 注意障害などの認知機能障害や, 易怒性や脱抑制などの情動障害が大きな問題となる. 認知機能障害と情動障害はお互いに影響し合うことが多く, リハはこの両者を常に念頭において進めていくことが重要である. 近年, 外傷性脳損傷の多様な高次脳機能障害に対し, 包括的なアプローチが望ましいことは認識されてきたが, それが行えるのはリハ専門病院や職業センターなど特定機関が主であり, その報告も受傷後数か月から数年以降のものである. 今回, 著者らは, 急性期病院において受傷後早期からの包括的なリハアプローチにより, 早期に社会復帰が可能...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 42; no. 11; pp. 778 - 782 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本リハビリテーション医学会
2005
日本リハビリテーション医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0034-351X 1880-778X |
DOI | 10.2490/jjrm1963.42.778 |
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Summary: | 外傷性脳損傷のリハビリテーション(以下, リハ)では, 記銘力障害, 注意障害などの認知機能障害や, 易怒性や脱抑制などの情動障害が大きな問題となる. 認知機能障害と情動障害はお互いに影響し合うことが多く, リハはこの両者を常に念頭において進めていくことが重要である. 近年, 外傷性脳損傷の多様な高次脳機能障害に対し, 包括的なアプローチが望ましいことは認識されてきたが, それが行えるのはリハ専門病院や職業センターなど特定機関が主であり, その報告も受傷後数か月から数年以降のものである. 今回, 著者らは, 急性期病院において受傷後早期からの包括的なリハアプローチにより, 早期に社会復帰が可能となった2症例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例提示 症例1:26歳, 男性, 右利き, システムエンジニア 診断:左前頭葉脳挫傷, 外傷性くも膜下出血 現病歴:乗用車運転中の交通事故で上記受傷した. 搬送時Japan coma scale(JCS)100で, 左前頭葉脳挫傷および外傷性脳内出血, くも膜下出血が認められ(図1), 同日開頭血腫除去および減圧術を施行された. |
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ISSN: | 0034-351X 1880-778X |
DOI: | 10.2490/jjrm1963.42.778 |