高齢者に対する頸椎・腰椎同時除圧手術例の検討

【はじめに】高齢者の増加とともに頸椎,腰椎変性疾患を共にもつ例も増加している.ともに手術適応と考えられる症例に対しての手術として1:頸椎または腰椎を手術施行し二期的に他を施行2:片方を施行し経過観察後必要時,他を施行3:頸椎腰椎同時手術を施行が考えられる.我々は可及的に頸椎・腰椎同時手術を施行してきた.【目的】症状を有する頸椎・腰椎変性疾患例に対して,頸椎・腰椎同時除圧手術を施行した高齢者(手術時年齢70歳以上)症例の臨床成績を検討する.【対象および方法】30例(男23例,女7例),手術時年齢70~87歳(平均77.9歳),経過観察期間6~60カ月(平均23.8カ月)疾患は頸椎症性脊髄症と腰部...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 4; pp. 718 - 719
Main Authors 土田, 徹, 池田, 天史, 宮崎, 真一, 川添, 泰弘, 二山, 勝也, 緒方, 光次郎, 大山, 哲寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2017
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.66.718

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Summary:【はじめに】高齢者の増加とともに頸椎,腰椎変性疾患を共にもつ例も増加している.ともに手術適応と考えられる症例に対しての手術として1:頸椎または腰椎を手術施行し二期的に他を施行2:片方を施行し経過観察後必要時,他を施行3:頸椎腰椎同時手術を施行が考えられる.我々は可及的に頸椎・腰椎同時手術を施行してきた.【目的】症状を有する頸椎・腰椎変性疾患例に対して,頸椎・腰椎同時除圧手術を施行した高齢者(手術時年齢70歳以上)症例の臨床成績を検討する.【対象および方法】30例(男23例,女7例),手術時年齢70~87歳(平均77.9歳),経過観察期間6~60カ月(平均23.8カ月)疾患は頸椎症性脊髄症と腰部脊柱管狭窄症の合併例30例で1例は胸椎黄色靭帯骨化症も合併,手術法は頸椎椎弓形成術27例,頸椎椎弓切除3例,腰椎椎弓切除30例,胸椎黄色靭帯骨化切除1例.手術に影響する術前合併症は30例中25例にあった.術前抗凝固剤は9例が服用しており,2例は休薬とした.【結果】手術時間71~191分(平均118分),術中出血量30~610 g(平均195 g)術中合併症1例(硬膜損傷),術後合併症6例(感染,創開,せん妄,十二指腸潰瘍,感染性胃腸炎)あるも治癒した.術後の十二指腸潰瘍例1例に他家輸血を要した.離床期間は1~4日(平均1.5日),入院期間平均27.4日(自宅退院19例,転院11例),JOAスコア(頸髄症)術前平均9.9点から経過観察時13.7点(平均改善率40.4%),JOAスコア(腰痛症)術前平均10.5点から経過観察時18.9点(平均改善率43.3%).【考察】同時手術にても耐えうる手術侵襲・術後経過であり,より良い改善を得るためには可能であれば高齢者であっても頸椎・腰椎同時手術を選択して良い.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.66.718