硬膜外腫瘤性病変と紛らわしかったS1神経根内神経鞘腫の一例

激しい下肢痛で発症し腰椎椎間板ヘルニア等を疑い手術を行ったが,硬膜外には病変が存在せず,S1神経根内神経鞘腫であった一例を経験したので報告する.80歳,男性.右下肢痛に対し5か月間保存療法したが効果ないため当院を受診した.MRIにて椎間板ヘルニアまたは嚢腫などの硬膜外病変を疑い手術を施行した.硬膜外にヘルニア塊や嚢腫等はなく,negative disc explorationと思われた.S1神経根が少し腫大している所見があったため,S1神経根鞘を切開すると腫瘍が発見された.神経根は温存し腫瘍のみを摘出した.病理は神経鞘腫であった.術後,疼痛は速やかに消失した.この症例では腫瘍が神経根鞘内の神経...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 215 - 218
Main Authors 巽, 政人, 柴田, 達也, 竹光, 義治, 木田, 浩隆, 井口, 洋平, 松本, 佳之, 眞田, 京一, 大田, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.215

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Summary:激しい下肢痛で発症し腰椎椎間板ヘルニア等を疑い手術を行ったが,硬膜外には病変が存在せず,S1神経根内神経鞘腫であった一例を経験したので報告する.80歳,男性.右下肢痛に対し5か月間保存療法したが効果ないため当院を受診した.MRIにて椎間板ヘルニアまたは嚢腫などの硬膜外病変を疑い手術を施行した.硬膜外にヘルニア塊や嚢腫等はなく,negative disc explorationと思われた.S1神経根が少し腫大している所見があったため,S1神経根鞘を切開すると腫瘍が発見された.神経根は温存し腫瘍のみを摘出した.病理は神経鞘腫であった.術後,疼痛は速やかに消失した.この症例では腫瘍が神経根鞘内の神経根を圧迫することでコンパートメント症候群の形態をとり,疼痛を発生させたと推察した.下肢痛を伴った腰椎変性疾患の鑑別診断として神経根内神経鞘腫も念頭に入れるべきである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.215