乳がん術後に発生した胸壁デスモイド型線維腫の2例

デスモイド型線維腫は,軟部腫瘍のうち約3%を占める比較的まれな軟部腫瘍である.病理学的には線維芽細胞の増殖を特徴とし,遠隔転移はきたさないものの局所浸潤性に発育するのが特徴である.デスモイド型線維腫の発症誘因として外傷や先行する手術が挙げられ,また女性ホルモンとの関与も示唆されている.またその治療法も経過観察から薬物療法,手術療法,放射線治療と様々なものが報告されているが,いまだ確立していないのが現状である.今回我々は乳がん術後にデスモイド型線維腫をきたした2例を経験した.2例とも,まずは薬物療法による保存療法を行い,1例は薬物療法のみで腫瘍の縮小傾向を認めたが,2例目は薬物療法の効果乏しく腫...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 3; pp. 627 - 630
Main Authors 佐々木, 裕美, 徳久, 陽一郎, 小宮, 節郎, 永野, 聡, 瀬戸口, 啓夫, 天辰, 愛弓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2017
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.66.627

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Summary:デスモイド型線維腫は,軟部腫瘍のうち約3%を占める比較的まれな軟部腫瘍である.病理学的には線維芽細胞の増殖を特徴とし,遠隔転移はきたさないものの局所浸潤性に発育するのが特徴である.デスモイド型線維腫の発症誘因として外傷や先行する手術が挙げられ,また女性ホルモンとの関与も示唆されている.またその治療法も経過観察から薬物療法,手術療法,放射線治療と様々なものが報告されているが,いまだ確立していないのが現状である.今回我々は乳がん術後にデスモイド型線維腫をきたした2例を経験した.2例とも,まずは薬物療法による保存療法を行い,1例は薬物療法のみで腫瘍の縮小傾向を認めたが,2例目は薬物療法の効果乏しく腫瘍の増大傾向を認め,広範腫瘍切除術を施行した.乳がんとデスモイド型線維腫との関連について,またデスモイド型線維腫に対する治療戦略について考察したので報告する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.66.627