多発性骨髄腫の初期診断における整形外科の関与
2004-2014年の間に当院で新規に多発性骨髄腫(Multiple Myeloma: MM)と診断された103例(男:女=56:47,平均年齢72歳)を対象に,初期診断における整形外科の関与と誤診率と誤診病名,主訴,診断の契機を調査した.整形外科初診例は35%(うち67%が誤診)であった.誤診病名は脊椎変性疾患と骨折が多かった.主訴は腰背部痛が全体の41%,整形外科初診例で70%であった.診断の契機は,血液尿検査異常が90%を占めた.MRIで58%が椎体骨折を認めた.整形外科初診例で誤診が67%であった理由では整形外科初診例の70%は腰痛を有し,MRIでは58%が椎体骨折を認めたことが一因と...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 4; pp. 912 - 916 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.66.912 |
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Summary: | 2004-2014年の間に当院で新規に多発性骨髄腫(Multiple Myeloma: MM)と診断された103例(男:女=56:47,平均年齢72歳)を対象に,初期診断における整形外科の関与と誤診率と誤診病名,主訴,診断の契機を調査した.整形外科初診例は35%(うち67%が誤診)であった.誤診病名は脊椎変性疾患と骨折が多かった.主訴は腰背部痛が全体の41%,整形外科初診例で70%であった.診断の契機は,血液尿検査異常が90%を占めた.MRIで58%が椎体骨折を認めた.整形外科初診例で誤診が67%であった理由では整形外科初診例の70%は腰痛を有し,MRIでは58%が椎体骨折を認めたことが一因と考えた.MRIで病的骨折の鑑別は難しく,血液検査・尿検査,CTやPET-CTを追加する等の多面的な診断が肝要である.男性の中高年の頑固な腰痛のピットフォールとして多発性骨髄腫を鑑別に挙げ,診療に当たる必要がある. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.66.912 |