第5腰椎分離すべり症術後に横断性脊髄炎を合併した1例

脊椎疾患の多くは下肢痛を主訴とすることが多いが,単一の疾患ではなく,複数の疾患が重複していることがある.腰椎分離症術後に非典型的な経過を辿り,脊髄円錐上部症候群を呈し,診断に苦慮した症例を報告する.症例は60歳男性,腰痛,両下肢の痛みと歩行困難により初診.第5腰椎分離すべり症による症状と診断し,保存的加療を行うも症状が持続し,Gill法による分離部の切除および後方椎体間固定(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)を施行.術後は下肢にしびれはあるも下肢痛は消失.術前より膀胱直腸障害は持続しており,脊髄円錐部の異常も考慮して精査するも淡い炎症所見のみでリハビ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 205 - 209
Main Authors 中江, 一朗, 永田, 見生, 島﨑, 孝裕, 枦元, 佑大郎, 二見, 俊人, 山田, 圭, 吉田, 龍弘, 佐藤, 公昭, 横須賀, 公章, 猿渡, 力也, 岩橋, 頌二, 志波, 直人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.205

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Summary:脊椎疾患の多くは下肢痛を主訴とすることが多いが,単一の疾患ではなく,複数の疾患が重複していることがある.腰椎分離症術後に非典型的な経過を辿り,脊髄円錐上部症候群を呈し,診断に苦慮した症例を報告する.症例は60歳男性,腰痛,両下肢の痛みと歩行困難により初診.第5腰椎分離すべり症による症状と診断し,保存的加療を行うも症状が持続し,Gill法による分離部の切除および後方椎体間固定(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)を施行.術後は下肢にしびれはあるも下肢痛は消失.術前より膀胱直腸障害は持続しており,脊髄円錐部の異常も考慮して精査するも淡い炎症所見のみでリハビリ加療を行っていた.術後3か月より急速に下肢の麻痺が進行し,造影MRIにて脊髄円錐部に造影効果のある炎症所見,周囲脊髄の浮腫を認め,横断性脊髄炎の診断となったが,その後再検査にて脊髄動静脈瘻の診断となり,血管内治療を行い症状は徐々に改善傾向である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.205