高齢者の転位型寛骨臼骨折に対してiliofemoral approachによるcolumn screw fixationを行った一例

高齢者の転位型寛骨臼骨折に対して手術侵襲の低減と必要十分な固定を考慮し,iliofemoral approach(以下IFA)によるcolumn screw fixationを行った一例を経験したので報告する.症例は74歳の女性であり,立位から転倒し左寛骨臼骨折(AO分類:62-C2.2,Letournel分類:T型骨折,前壁骨折)と左仙骨骨折を受傷した.受傷8日にIFAで展開し,後柱・恥骨・前壁をそれぞれスクリューで固定した.手術時間192分,出血量360 mlであった.術後経過は問題なく,荷重歩行が可能となった.高齢者の転位型寛骨臼骨折は前方要素の骨折を伴うことが多く,保存治療では機能予後...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 2; pp. 380 - 385
Main Authors 田中, 希, 小島, 安弘, 熊谷, 優, 小島, 隆治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.380

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Summary:高齢者の転位型寛骨臼骨折に対して手術侵襲の低減と必要十分な固定を考慮し,iliofemoral approach(以下IFA)によるcolumn screw fixationを行った一例を経験したので報告する.症例は74歳の女性であり,立位から転倒し左寛骨臼骨折(AO分類:62-C2.2,Letournel分類:T型骨折,前壁骨折)と左仙骨骨折を受傷した.受傷8日にIFAで展開し,後柱・恥骨・前壁をそれぞれスクリューで固定した.手術時間192分,出血量360 mlであった.術後経過は問題なく,荷重歩行が可能となった.高齢者の転位型寛骨臼骨折は前方要素の骨折を伴うことが多く,保存治療では機能予後が不良である.全身状態が許せば解剖学的整復を目指すべきであるが,高齢者に対する観血的手術は平均手術時間236分,出血量707 mlとの報告もあり,その侵襲は大きい.本法は侵襲に配慮した上で必要十分な固定が可能と思われ,高齢者に対する治療選択肢の一つとなりうると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.380