甲状腺癌診療の最近の動向

「1. はじめに」この数年間に, 治療方針を左右する複数の診療ガイドラインが改定された. 米国甲状腺学会 (ATA) からの分化癌に関するガイドラインが2015年に, またAJCC/UICC TNM分類も2017年に第8版へ改定された. 本邦では, 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018 (日本内分泌外科学会編) が, 2010年発刊の第1版より改定された. ガイドラインの変更点を中心に, 甲状腺癌診療の最近の動向について述べる. 「2. 甲状腺がんの治療の変遷」甲状腺分化癌の10年生存率は90%以上と予後良好な癌であり, その治療の中心は外科的切除である. 日本は欧米とは違った形で, 甲状腺癌に...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 123; no. 1; pp. 78 - 80
Main Author 森谷, 季吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.01.2020
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.123.78

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Summary:「1. はじめに」この数年間に, 治療方針を左右する複数の診療ガイドラインが改定された. 米国甲状腺学会 (ATA) からの分化癌に関するガイドラインが2015年に, またAJCC/UICC TNM分類も2017年に第8版へ改定された. 本邦では, 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018 (日本内分泌外科学会編) が, 2010年発刊の第1版より改定された. ガイドラインの変更点を中心に, 甲状腺癌診療の最近の動向について述べる. 「2. 甲状腺がんの治療の変遷」甲状腺分化癌の10年生存率は90%以上と予後良好な癌であり, その治療の中心は外科的切除である. 日本は欧米とは違った形で, 甲状腺癌に対する治療を展開させてきた. 従来欧米ではほとんどの分化癌に対して, 甲状腺全摘術が推奨され, 術後に放射線ヨウ素による遺残甲状腺組織のアブレーションを行ったうえで, TSH抑制療法を行うことが標準治療とされてきた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.123.78