長母趾屈筋腱に発生したtenosynovial chondromatosisの1例

骨外に発生する良性軟骨性腫瘍は,関節内病変と軟部組織に発生するものに大別される.関節内に発生するsynovial chondromatosisは比較的遭遇する機会があるが,腱鞘より発生し四肢末梢である手指,足指に好発するtenosynovial chondromatosisは稀である.足底に発生した症例を経験したので報告する.症例は,28歳女性.3年前に右足底部の腫瘤に気がついていたが放置していた.徐々に増大するために近医を受診,MRI検査を施行され足底部の軟部腫瘍が疑われ当院を紹介された.右足底部に1×1 cm,3×4 cmの硬い腫瘤を2個触知した.単純エックス線検査では,わずかに石灰化と思...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 2; pp. 195 - 197
Main Authors 濱田, 哲矢, 平岡, 弘二, 松田, 光太郎, 阿部, 隆之介, 志波, 直人, 庄田, 孝則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.195

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Summary:骨外に発生する良性軟骨性腫瘍は,関節内病変と軟部組織に発生するものに大別される.関節内に発生するsynovial chondromatosisは比較的遭遇する機会があるが,腱鞘より発生し四肢末梢である手指,足指に好発するtenosynovial chondromatosisは稀である.足底に発生した症例を経験したので報告する.症例は,28歳女性.3年前に右足底部の腫瘤に気がついていたが放置していた.徐々に増大するために近医を受診,MRI検査を施行され足底部の軟部腫瘍が疑われ当院を紹介された.右足底部に1×1 cm,3×4 cmの硬い腫瘤を2個触知した.単純エックス線検査では,わずかに石灰化と思われる陰影を認め,MRIで腫瘍は,長母趾屈筋腱を取り囲むように存在し,T1 low,T2で不均一にhighの分葉形態を示す腫瘍と多発する小腫瘤を認めた.診断確定の為に切開生検を施行した.結果は軟骨腫であり,画像と合わせてtenosynovial chondromatosisを疑い,辺縁切除施行した.腫瘍は長母趾屈筋腱周囲に多発しており,tenosynovial chondromatosisと診断した.tenosynovial chondromatosisは,synovial chondromatosisの亜型で,関節外病変の同一病態と考えられており,再発が多く注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.195