神経内血腫による急性尺骨神経不全麻痺の1例

末梢神経内血腫の報告は極めて稀であり,発生機序に関しては明確な見解は得られていない.尺骨神経内血腫により急性尺骨神経不全麻痺をきたした1例を経験したため報告する.【症例】67歳,白人女性.左肘の軽微な捻挫後より左肘尺側部の疼痛,左環小指の感覚障害が出現.内在筋筋力低下,感覚障害が進行し,急性尺骨神経不全麻痺の診断にて当科紹介.MRIにて肘部管周囲に尺骨神経を圧迫する血腫の貯留を認めた.手術所見では尺骨神経上膜下に血腫の貯留を認め,神経上膜を切開し,血腫除去および神経剥離術を施行した.術後2ケ月目のMRIで血腫の再貯留を認め,初回手術後7ケ月で再手術を施行した.術後1年半で症状は改善した.【考察...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 63; no. 2; pp. 304 - 308
Main Authors 松永, 渉, 副島, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2014
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.63.304

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Summary:末梢神経内血腫の報告は極めて稀であり,発生機序に関しては明確な見解は得られていない.尺骨神経内血腫により急性尺骨神経不全麻痺をきたした1例を経験したため報告する.【症例】67歳,白人女性.左肘の軽微な捻挫後より左肘尺側部の疼痛,左環小指の感覚障害が出現.内在筋筋力低下,感覚障害が進行し,急性尺骨神経不全麻痺の診断にて当科紹介.MRIにて肘部管周囲に尺骨神経を圧迫する血腫の貯留を認めた.手術所見では尺骨神経上膜下に血腫の貯留を認め,神経上膜を切開し,血腫除去および神経剥離術を施行した.術後2ケ月目のMRIで血腫の再貯留を認め,初回手術後7ケ月で再手術を施行した.術後1年半で症状は改善した.【考察】軽微な外傷による神経上膜下の微小血管破綻により神経内血腫が発生したものと考えられたが,血腫の再貯留の原因は不明であった.確定診断,治療をかねた神経上膜切開は有効であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.63.304