下肢痛で発症し腰部脊柱管狭窄症との鑑別に難渋した悪性リンパ腫の一例

第4腰椎変性すべり症の診断にて手術を行ったが症状改善せず,精査にて悪性リンパ腫によるneuro­lymphomatosisと診断された症例を経験した.症例は79歳,男性.主訴は右下肢痛.第4腰椎変性すべり症の診断にて手術を行ったが,症状は改善しなかった.術後のMRIにて除圧は良好であったが,造影MRIにて右S1神経根が仙骨出口付近で腫大し淡い造影効果を認めた.PET-MRIではリンパ節と骨にFDGの多発性集積があり,IL-2レセプターの上昇も認めた.腹部リンパ節生検にて悪性リンパ腫と診断された.化学療法にて悪性リンパ腫は寛解したが,下肢症状は残存している.神経根や末梢神経,神経叢に浸潤した悪性...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 2; pp. 186 - 189
Main Authors 櫻木, 彬一, 巽, 政人, 眞田, 京一, 大田, 秀樹, 井口, 洋平, 萩原, 秀祐, 松本, 佳之, 竹光, 義治, 田原, 健一, 柴田, 達也, 木田, 浩隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2021
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.70.186

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Summary:第4腰椎変性すべり症の診断にて手術を行ったが症状改善せず,精査にて悪性リンパ腫によるneuro­lymphomatosisと診断された症例を経験した.症例は79歳,男性.主訴は右下肢痛.第4腰椎変性すべり症の診断にて手術を行ったが,症状は改善しなかった.術後のMRIにて除圧は良好であったが,造影MRIにて右S1神経根が仙骨出口付近で腫大し淡い造影効果を認めた.PET-MRIではリンパ節と骨にFDGの多発性集積があり,IL-2レセプターの上昇も認めた.腹部リンパ節生検にて悪性リンパ腫と診断された.化学療法にて悪性リンパ腫は寛解したが,下肢症状は残存している.神経根や末梢神経,神経叢に浸潤した悪性リンパ腫を神経リンパ腫と呼ばれている.画像所見のみで確定診断を得ることは困難であり,病理学的診断が必要となる.原因不明な神経根腫大を認めた場合,頻度は低いものの悪性リンパ腫も鑑別に挙げる必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.186