ビスホスホネート製剤が著効したTumoral calcinosisの一例

【目的】Tumoral calcinosis(以下TC)は,関節周囲の軟部組織に腫瘤状の石灰沈着をきたす疾患である.手,鎖骨,股関節近傍に生じたTCに対し,ビスホスホネート製剤を使用し著効した一例を経験したので報告する.【症例】68歳女性.4-5年前より,右手母指指腹部に小さな腫瘤を自覚した.半年前より示指,中指,左母~中指にも出現し,徐々に増大した.各種検査施行されたが膠原病は否定的であった.左手の腫瘤は自壊しそうであったため,当科紹介となり,外科的切除術を施行した.チョーク様乳白色の内容物を認め,病理組織検査にて,TCの診断に至った.術後,右鎖骨周囲,左股関節周囲に腫瘤性病変が新たに見つか...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 68; no. 2; pp. 287 - 290
Main Authors 大茂, 壽久, 濱田, 賢治, 古子, 剛, 大友, 一, 長島, 加代子, 鈴木, 正弘, 蒲地, 康人, 田原, 尚直, 江副, 賢生, 清水, 建詞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2019
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.68.287

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Summary:【目的】Tumoral calcinosis(以下TC)は,関節周囲の軟部組織に腫瘤状の石灰沈着をきたす疾患である.手,鎖骨,股関節近傍に生じたTCに対し,ビスホスホネート製剤を使用し著効した一例を経験したので報告する.【症例】68歳女性.4-5年前より,右手母指指腹部に小さな腫瘤を自覚した.半年前より示指,中指,左母~中指にも出現し,徐々に増大した.各種検査施行されたが膠原病は否定的であった.左手の腫瘤は自壊しそうであったため,当科紹介となり,外科的切除術を施行した.チョーク様乳白色の内容物を認め,病理組織検査にて,TCの診断に至った.術後,右鎖骨周囲,左股関節周囲に腫瘤性病変が新たに見つかった.骨粗鬆症も並存しており,ビスホスホネート製剤を開始した.現在,ビスホスホネート製剤開始後半年経過しているが,腫瘤は縮小し,再発を認めていない.【結論】症候性のTumoral calcinosisに対し,外科的摘出術およびビスホスホネート製剤を使用し著効した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.68.287