稀な胸髄髄内神経鞘腫の1例

目的:胸髄内に発生した稀な神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例:49歳女性.平成23年2月より左臀部痛・肛門部違和感を自覚し,両下肢痛・しびれや膀胱直腸障害を認め,平成24年9月に当院紹介受診となった.既往歴・家族歴に特記事項はなかった.MRI上,Th8―11にT2WIにて高輝度を伴う髄内腫瘍を認めた.胸髄髄内腫瘍の診断(上衣腫疑い)で腫瘍摘出術を行った.手術時間は4時間45分,出血量は150mlであった.病理検査の結果,神経鞘腫の診断であった.術直後より下肢痛・しびれは消失し,術後10ヵ月の現在,左臀部痛の残存を認めるが,その他の症状は改善している.考察:神経鞘腫の髄内発生頻度は0.3...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 63; no. 3; pp. 491 - 493
Main Authors 湯上, 正樹, 池田, 天史, 落合, 和久, 土田, 徹, 大山, 哲寛, 原, 慎太郎, 川添, 泰弘, 宮崎, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2014
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.63.491

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Summary:目的:胸髄内に発生した稀な神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例:49歳女性.平成23年2月より左臀部痛・肛門部違和感を自覚し,両下肢痛・しびれや膀胱直腸障害を認め,平成24年9月に当院紹介受診となった.既往歴・家族歴に特記事項はなかった.MRI上,Th8―11にT2WIにて高輝度を伴う髄内腫瘍を認めた.胸髄髄内腫瘍の診断(上衣腫疑い)で腫瘍摘出術を行った.手術時間は4時間45分,出血量は150mlであった.病理検査の結果,神経鞘腫の診断であった.術直後より下肢痛・しびれは消失し,術後10ヵ月の現在,左臀部痛の残存を認めるが,その他の症状は改善している.考察:神経鞘腫の髄内発生頻度は0.3%―2.7%と低い.また,脊髄髄内神経鞘腫の発生起源については種々の見解があるが,本症例では明らかでなかった.術後10ヵ月の現在,再発なく経過しており,今後も注意深く経過観察を行う必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.63.491