高校野球における選手が求める監督コンピテンシーの構造

「I 緒言」平野・梅澤(2022)は「学校教育下における運動部活動の1つでありながら, 国民的人気を誇るスポーツ」である高校野球において, 指導者の暴力や暴言, パワハラ等の不適切な指導が後を絶たない現状について言及している. 実際, 体罰・暴言等の不適切な指導への処分が2021年度には30件以上挙げられており, 内訳をみると監督26件, 部長1件, 副部長2件, コーチ5件と, 処分された指導者の中で監督が最も多かった. 高松・山口(2015)は「体罰や暴力を用いた指導からの脱却を目指し, 新たな指導スタイルの確立」に向け, 監督を対象としたインタビューやアンケートによって, 高校野球におけ...

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Published in体育学研究 Vol. 68; pp. 517 - 530
Main Authors 平野, 太一, 梅澤, 秋久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 2023
日本体育・スポーツ・健康学会
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.22060

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Summary:「I 緒言」平野・梅澤(2022)は「学校教育下における運動部活動の1つでありながら, 国民的人気を誇るスポーツ」である高校野球において, 指導者の暴力や暴言, パワハラ等の不適切な指導が後を絶たない現状について言及している. 実際, 体罰・暴言等の不適切な指導への処分が2021年度には30件以上挙げられており, 内訳をみると監督26件, 部長1件, 副部長2件, コーチ5件と, 処分された指導者の中で監督が最も多かった. 高松・山口(2015)は「体罰や暴力を用いた指導からの脱却を目指し, 新たな指導スタイルの確立」に向け, 監督を対象としたインタビューやアンケートによって, 高校野球における監督特有のコンピテンシー構造を明らかにした. その結果, 精神主義的, 勝利至上主義的な要素と関連するコンピテンシーはみられず, 指導者が選手に対して協働的な姿勢を持つことの重要性が示された. コンピテンシーとは, 1970年代にマクレランドが提唱し, 「卓越した業績を生む原因として関わっている個人の根源的特性」と定義され(スペンサー・スペンサー, 2001), 元来, 経営や企業マネジメントの文脈で用いられてきたが, 近年, 国際的にはスポーツ指導の分野にも援用されている(Kostopoulos, 2011; Myers et al., 2006, 2010).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.22060