慢性拡張性血腫の治療経験
(はじめに)慢性拡張性血腫とは1か月以上持続し緩徐に増大する血腫と定義され,手術侵襲や外傷などを契機に形成される.当院での経験した5例に対し文献的考察を交えて報告する.(対象)2010年から2018年に当院で加療した5例(男性3例女性2例),平均年齢67.2歳(46~74),平均観察期間1年6か月(6か月~5年),発生部位は大腿3例,鼠径部1例,足関節内果1例であった.(結果)全例に比較的厚い被膜(平均3mm)があり,被膜とともに切除した.血小板数,PT-INRなどの抗凝固能低下はなかった.最終観察時に再発・術後合併症はなかった.(考察)慢性拡張性血腫の特徴は厚い被膜があることであるが,T1・...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 35 - 38 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.69.35 |
Cover
Summary: | (はじめに)慢性拡張性血腫とは1か月以上持続し緩徐に増大する血腫と定義され,手術侵襲や外傷などを契機に形成される.当院での経験した5例に対し文献的考察を交えて報告する.(対象)2010年から2018年に当院で加療した5例(男性3例女性2例),平均年齢67.2歳(46~74),平均観察期間1年6か月(6か月~5年),発生部位は大腿3例,鼠径部1例,足関節内果1例であった.(結果)全例に比較的厚い被膜(平均3mm)があり,被膜とともに切除した.血小板数,PT-INRなどの抗凝固能低下はなかった.最終観察時に再発・術後合併症はなかった.(考察)慢性拡張性血腫の特徴は厚い被膜があることであるが,T1・T2強調像で低~高信号が混在することが多く,また造影効果は被膜だけでなく腫瘍内部に及ぶことがあり,画像診断のみでは悪性軟部腫瘍との鑑別が難しい.病理診断・臨床経過を勘案して診断することが肝要である. |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.69.35 |