肝移植における周術期感染管理

当院では,2012年夏,多剤耐性緑膿菌(MDRP)のアウトブレイクを契機に,一旦成人肝移植プログラムを中断し,手指衛生の徹底,移植適応の見直し,積極的な周術期栄養リハビリ介入,プロカルシトニン測定導入の4項目からなる周術期感染対策バンドルを樹立した。2013年1月以降,前向きにその妥当性を検証したところ,有意に感染関連アウトカムや移植後生存率が改善した。われわれは,生体肝移植患者において術前サルコペニア(骨格筋量低下など)が独立予後不良因子であることをはじめて報告し,さらに体組成を考慮した移植適応の運用と周術期栄養感染管理により,1年生存率98%と極めて良好な移植成績を得ている。本分野において...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 6; pp. 645 - 654
Main Authors 海道, 利実, 上本, 伸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.12.2018
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.6_645

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Summary:当院では,2012年夏,多剤耐性緑膿菌(MDRP)のアウトブレイクを契機に,一旦成人肝移植プログラムを中断し,手指衛生の徹底,移植適応の見直し,積極的な周術期栄養リハビリ介入,プロカルシトニン測定導入の4項目からなる周術期感染対策バンドルを樹立した。2013年1月以降,前向きにその妥当性を検証したところ,有意に感染関連アウトカムや移植後生存率が改善した。われわれは,生体肝移植患者において術前サルコペニア(骨格筋量低下など)が独立予後不良因子であることをはじめて報告し,さらに体組成を考慮した移植適応の運用と周術期栄養感染管理により,1年生存率98%と極めて良好な移植成績を得ている。本分野においても重要なことは,やはり「チーム医療」であり「イノベーション」である。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.6_645