化学的腸管処置後に発症し重症合併症を伴ったClostridioides difficile腸炎の1例

症例は60歳代,女性。S状結腸の側方発育型大腸腫瘍に対して,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した。前処置として,ESD前日の経口抗菌薬の内服およびESD直前から処置後24時間の経静脈抗菌薬投与が行われた。ESD後5日目より腹部膨満を認め,次第に発熱や水様性下痢が出現した。ESD後10日目にClostridioides difficile感染症(CDI)と診断され,VancomycinとMetronidazoleの経鼻経腸投与が開始された。しかし症状は徐々に悪化し,内科的治療抵抗性と判断され,CDIの診断翌日に緊急大腸亜全摘術が施行された。本症例では,内視鏡手術前後に推奨されていない化学的...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 16; no. 4; pp. 235 - 239
Main Authors 山口, 高史, 畑, 啓昭, 大倉, 啓輔, 加藤, はる, 妹尾, 充敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.08.2019
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.16.4_235

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Summary:症例は60歳代,女性。S状結腸の側方発育型大腸腫瘍に対して,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した。前処置として,ESD前日の経口抗菌薬の内服およびESD直前から処置後24時間の経静脈抗菌薬投与が行われた。ESD後5日目より腹部膨満を認め,次第に発熱や水様性下痢が出現した。ESD後10日目にClostridioides difficile感染症(CDI)と診断され,VancomycinとMetronidazoleの経鼻経腸投与が開始された。しかし症状は徐々に悪化し,内科的治療抵抗性と判断され,CDIの診断翌日に緊急大腸亜全摘術が施行された。本症例では,内視鏡手術前後に推奨されていない化学的腸管処置が重篤な合併症を伴うCDIの発症の誘因となった可能性があり,CDI予防には適切な抗菌薬の使用が重要であると考えられた。また,重症化を防ぐためにも積極的なCDIの細菌学的検査施行が望ましいと考えられた。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.16.4_235