腹腔内遊離ガスを伴った化膿性肝膿瘍破裂の1例

症例は84歳女性。発熱,腹痛を主訴に前医を受診した。腹部CT検査で腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔疑いで当科紹介となった。血液検査で,炎症反応高値,肝機能異常,高血糖を認めた。当科での腹部CT検査で肝右葉に約7cm大の肝膿瘍を認め,内部にはガス像を伴っていた。さらに腹腔内には,遊離ガスおよび多量の腹水を認めた。肝膿瘍および消化管穿孔による汎発性腹膜炎疑いで緊急手術を施行した。腹腔内に多量の混濁した腹水が貯留し,肝S5の肝膿瘍穿孔部より,膿汁の流出を認めた。消化管に穿孔部や腫瘍性病変などは認めず,膿瘍腔および腹腔内の洗浄,ドレナージ術を施行した。肝膿瘍の起因菌として,Klebsiella pne...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 6; pp. 683 - 687
Main Authors 大樂, 勝司, 船水, 尚武, 矢永, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.12.2018
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.6_683

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Summary:症例は84歳女性。発熱,腹痛を主訴に前医を受診した。腹部CT検査で腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔疑いで当科紹介となった。血液検査で,炎症反応高値,肝機能異常,高血糖を認めた。当科での腹部CT検査で肝右葉に約7cm大の肝膿瘍を認め,内部にはガス像を伴っていた。さらに腹腔内には,遊離ガスおよび多量の腹水を認めた。肝膿瘍および消化管穿孔による汎発性腹膜炎疑いで緊急手術を施行した。腹腔内に多量の混濁した腹水が貯留し,肝S5の肝膿瘍穿孔部より,膿汁の流出を認めた。消化管に穿孔部や腫瘍性病変などは認めず,膿瘍腔および腹腔内の洗浄,ドレナージ術を施行した。肝膿瘍の起因菌として,Klebsiella pneumoniaeが検出された。術後,敗血症性ショックおよびDICを呈していたが,薬物治療により改善した。術後8日目以降肝の同部位に2度膿瘍形成を認めたが,経皮経肝ドレナージで改善し,術後67日目で退院となった。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.6_683