川崎病亜急性期に合併した股関節炎の1例
【はじめに】川崎病亜急性期に合併した股関節炎の1例を経験したので報告する.【症例】6か月女児.川崎病に対し小児科で入院加療され経過良好にて退院となっていた.退院4日後,機嫌が悪く右下肢を動かさないとのことで近医を受診後,当院紹介となった.体温は38.5度,右下肢は仮性麻痺様であった.採血所見は白血球17200,CRP4.02でありMRIにて関節液の貯留がみられた.Cairdの予測因子で3項目以上が該当し,また関節液の所見から化膿性股関節炎を疑い,同日に関節切開排膿術を施行した.術後抗生剤の治療も行ったが,体温37~38度を推移した.術後4日で冠動脈の拡張を認めガンマグロブリンによる加療が行われ...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 1; pp. 50 - 53 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.70.50 |
Cover
Summary: | 【はじめに】川崎病亜急性期に合併した股関節炎の1例を経験したので報告する.【症例】6か月女児.川崎病に対し小児科で入院加療され経過良好にて退院となっていた.退院4日後,機嫌が悪く右下肢を動かさないとのことで近医を受診後,当院紹介となった.体温は38.5度,右下肢は仮性麻痺様であった.採血所見は白血球17200,CRP4.02でありMRIにて関節液の貯留がみられた.Cairdの予測因子で3項目以上が該当し,また関節液の所見から化膿性股関節炎を疑い,同日に関節切開排膿術を施行した.術後抗生剤の治療も行ったが,体温37~38度を推移した.術後4日で冠動脈の拡張を認めガンマグロブリンによる加療が行われると体温も解熱し全身状態は改善した.最終的な診断としては川崎病亜急性期に合併した股関節炎と考えた.【考察】化膿性股関節炎は関節に不可逆的な変化が生じるため川崎病等の非化膿性の股関節炎との鑑別を検討した上で迅速な処置を積極的に行う必要がある. |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.70.50 |