術前に肝膿瘍,髄膜炎,頸部膿瘍を発症した胃癌・直腸癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除・低位前方切除を施行した1例
症例は76歳,男性。発熱を主訴に受診し,腹部超音波検査で肝に内部不均一な低エコー域を認め,肝膿瘍と診断し,経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した。膿瘍からの排液培養検査,血液培養検査および髄膜炎を疑って施行した髄液培養検査でKlebsiella pneumoniaeが検出された。その後の造影CT検査で複数の肝膿瘍を認め,膿瘍ドレナージを追加した。経過中に頸部膿瘍も発症したので切開排膿した。肝膿瘍の原因検索として消化管検査を行い,胃癌および直腸癌を認めた。初回入院後168日目に腹腔鏡下幽門側胃切除・低位前方切除術を施行した。術後25ヵ月の時点で,肝膿瘍・頸部膿瘍の再発や胃癌・直腸癌の肝転移を認めていな...
Saved in:
Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 17; no. 4; pp. 201 - 206 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
31.08.2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
DOI | 10.24679/gekakansen.17.4_201 |
Cover
Summary: | 症例は76歳,男性。発熱を主訴に受診し,腹部超音波検査で肝に内部不均一な低エコー域を認め,肝膿瘍と診断し,経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した。膿瘍からの排液培養検査,血液培養検査および髄膜炎を疑って施行した髄液培養検査でKlebsiella pneumoniaeが検出された。その後の造影CT検査で複数の肝膿瘍を認め,膿瘍ドレナージを追加した。経過中に頸部膿瘍も発症したので切開排膿した。肝膿瘍の原因検索として消化管検査を行い,胃癌および直腸癌を認めた。初回入院後168日目に腹腔鏡下幽門側胃切除・低位前方切除術を施行した。術後25ヵ月の時点で,肝膿瘍・頸部膿瘍の再発や胃癌・直腸癌の肝転移を認めていない。肝膿瘍と診断した場合は,原因検索として,消化管精査を施行することが重要である。本症例は肝膿瘍の他に敗血症,髄膜炎,頸部膿瘍と複数の術前感染症を発症していたことが特徴である。 |
---|---|
ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
DOI: | 10.24679/gekakansen.17.4_201 |