後頚部に発生した骨外性粘液型軟骨肉腫の1例

骨外性粘液型軟骨肉腫(Extraskeletal myxoid chondrosarcoma; EMC)は稀な疾患である.今回,後頚部に発生したEMCの1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.後頚部の4×3cmの腫瘤を主訴に当科を受診.発赤,局所熱感,疼痛は認めなかった.腫瘍はMRI T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示し,ガドリニウムにて造影された.切開生検を行い神経内分泌癌が疑われ,広範切除術を施行した.切除検体では神経内分泌癌や悪性軟部腫瘍が疑われたが,確定診断に至らなかった.専門施設にコンサルトし,EWSR1-NR4A3の融合遺伝子が検出され,EMC cellular...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 26 - 29
Main Authors 濱田, 哲矢, 山田, 裕一, 松田, 光太郎, 小田, 義直, 平岡, 弘二, 中田, 路子, 中島, 帆奈美, 志波, 直人, 大島, 孝一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.26

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Summary:骨外性粘液型軟骨肉腫(Extraskeletal myxoid chondrosarcoma; EMC)は稀な疾患である.今回,後頚部に発生したEMCの1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.後頚部の4×3cmの腫瘤を主訴に当科を受診.発赤,局所熱感,疼痛は認めなかった.腫瘍はMRI T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示し,ガドリニウムにて造影された.切開生検を行い神経内分泌癌が疑われ,広範切除術を施行した.切除検体では神経内分泌癌や悪性軟部腫瘍が疑われたが,確定診断に至らなかった.専門施設にコンサルトし,EWSR1-NR4A3の融合遺伝子が検出され,EMC cellular variantの診断であった.術後1年で両側の多発肺転移を認め,術後2年の現在,転移巣に対して化学療法を行っている.EMCは緩徐に進行することが多いとされるが,本症例では術後早期に肺転移を認めた.また,組織像も典型的ではなく,診断に難渋した.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.26