術前に両肺動脈塞栓症を発症した上腕骨近位端骨折の1例

整形外科領域において周術期の下肢静脈血栓症および肺動脈塞栓症の発症の予防についての報告が散見される.その多くが人工関節置換術や下肢骨折の手術に伴う報告であり,上肢骨折に関する報告は稀である.今回上腕骨近位端骨折の術前に肺動脈塞栓症を発症した1例を経験したので報告する.症例は89歳,女性.自宅で転倒し受傷.右肩関節痛強く,近医受診し,右上腕骨近位端骨折の診断で当院紹介受診.当院で施行した画像検査で右上腕骨近位端骨折を認め,手術加療の方針となった.疼痛強く,自宅での生活は困難であり受傷4日後に入院.術前から歩行許可し,リハビリテーション介入していた.手術日の早朝より呼吸苦が出現,両肺動脈塞栓症の診...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 63 - 65
Main Authors 蒲地, 康人, 濱田, 賢治, 山下, 明浩, 大友, 一, 藤田, 潤, 宮里, 和明, 田原, 尚直, 古子, 剛, 清水, 建詞, 杉野, 裕記, 大茂, 壽久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.63

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Summary:整形外科領域において周術期の下肢静脈血栓症および肺動脈塞栓症の発症の予防についての報告が散見される.その多くが人工関節置換術や下肢骨折の手術に伴う報告であり,上肢骨折に関する報告は稀である.今回上腕骨近位端骨折の術前に肺動脈塞栓症を発症した1例を経験したので報告する.症例は89歳,女性.自宅で転倒し受傷.右肩関節痛強く,近医受診し,右上腕骨近位端骨折の診断で当院紹介受診.当院で施行した画像検査で右上腕骨近位端骨折を認め,手術加療の方針となった.疼痛強く,自宅での生活は困難であり受傷4日後に入院.術前から歩行許可し,リハビリテーション介入していた.手術日の早朝より呼吸苦が出現,両肺動脈塞栓症の診断で抗凝固療法を開始.徐々に血栓の縮小を認めた.上腕骨近位端骨折の術前でも入院に伴う活動性の低下に伴い,肺動脈血栓症を発症することがあり,周術期の肺動脈塞栓症に留意する必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.63