スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例
「はじめに」滅圧症は環境圧力の低下に伴い生体内に溶解されていた不活性ガス(主に窒素)が過飽和となり気胞形成を来たすことで生じる種々の病態をいう1). I型は皮膚, 筋症状(bends)のみのもの, II型は呼吸, 循環器症状(chokes)や中枢神経症状を伴うものを指す. 減圧に伴い中枢神経症状を来たす病態には動脈ガス塞栓もある2). 歴史的には高気圧環境での労働や高空での減圧によるものが知られているが, 近年はレジャーダイバーの発症が増加し減圧症全体の20%以上を占める2, 3). レジャーダイバーの実数は約30万人3)またはそれ以上と推測されるが, 商業ベースの講習での不十分な知識, 健康...
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| Published in | リハビリテーション医学 Vol. 43; no. 7; pp. 454 - 459 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本リハビリテーション医学会
2006
日本リハビリテーション医学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0034-351X 1880-778X |
| DOI | 10.2490/jjrm1963.43.454 |
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| Summary: | 「はじめに」滅圧症は環境圧力の低下に伴い生体内に溶解されていた不活性ガス(主に窒素)が過飽和となり気胞形成を来たすことで生じる種々の病態をいう1). I型は皮膚, 筋症状(bends)のみのもの, II型は呼吸, 循環器症状(chokes)や中枢神経症状を伴うものを指す. 減圧に伴い中枢神経症状を来たす病態には動脈ガス塞栓もある2). 歴史的には高気圧環境での労働や高空での減圧によるものが知られているが, 近年はレジャーダイバーの発症が増加し減圧症全体の20%以上を占める2, 3). レジャーダイバーの実数は約30万人3)またはそれ以上と推測されるが, 商業ベースの講習での不十分な知識, 健康管理意識の乏しさ, 中高年ダイバーの増加などの問題がある一方, 滅圧症に関する啓蒙や治療環境の整備はあまり進んでいない4). 治療は高気圧酸素療法が優先され, II型減圧症では「アメリカ海軍治療表6」がもっとも一般的である2, 3, 5~7). これは2.8ATA(水深18m相当)の加圧下で20分間の酸素吸入を5分のインターバルを挟んで3回繰り返し, その後, 1.9ATA(水深9m相当)で60分の酸素吸入を15分のインターバルで2回行い減圧する方法である2, 6). |
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| ISSN: | 0034-351X 1880-778X |
| DOI: | 10.2490/jjrm1963.43.454 |