腹壁に発生したBCOR遺伝子異常肉腫の1例

【はじめに】近年,ユーイング様肉腫としてBCOR遺伝子異常を伴うBCOR遺伝子異常肉腫が新たな疾患概念として提唱されている.今回,腹壁発生のBCOR遺伝子異常肉腫の1例を経験したので報告する.【症例】症例は27歳,男性.2ヵ月前から左側腹部に腫瘤を認め,徐々に増大したため,近医を受診した.MRIで内腹斜筋内に軟部腫瘍を認め,T1強調像で低信号,T2強調像およびSTIR像で高信号を呈し,腫瘍辺縁はガドリニウムで造影効果を示し,内部壊死が疑われた.切開生検でBCOR遺伝子異常肉腫と診断された.術前化学療法を行ったが,1クール目で腫瘍内出血を伴う増大を認めたため,化学療法を中止し,広範切除術とメッシ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 1; pp. 141 - 144
Main Authors 水田, 康平, 大城, 裕理, 熱海, 恵理子, 津覇, 雄一, 西田, 康太郎, 當銘, 保則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.141

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Summary:【はじめに】近年,ユーイング様肉腫としてBCOR遺伝子異常を伴うBCOR遺伝子異常肉腫が新たな疾患概念として提唱されている.今回,腹壁発生のBCOR遺伝子異常肉腫の1例を経験したので報告する.【症例】症例は27歳,男性.2ヵ月前から左側腹部に腫瘤を認め,徐々に増大したため,近医を受診した.MRIで内腹斜筋内に軟部腫瘍を認め,T1強調像で低信号,T2強調像およびSTIR像で高信号を呈し,腫瘍辺縁はガドリニウムで造影効果を示し,内部壊死が疑われた.切開生検でBCOR遺伝子異常肉腫と診断された.術前化学療法を行ったが,1クール目で腫瘍内出血を伴う増大を認めたため,化学療法を中止し,広範切除術とメッシュを用いて腹壁再建術を行った.術後化学療法を行ったが,COVID-19感染・CVポート感染のため,術後化学療法は継続困難となり,3クールで終了した.術後9ヵ月に肺転移を認め,部分切除術を行った.現在術後10ヵ月,無病生存中である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.141