骨折術後の抜釘施行後に生じた仮性動脈瘤の2例

【はじめに】医原性の血管損傷は稀ではあるが,大腿骨近位部骨折や人工膝関節置換術後に生じた仮性動脈瘤の報告は散見する.今回我々は,骨折術後に生じた仮性動脈瘤の症例を2例経験したため,報告する.【症例1】84歳女性.心房細動に対してリクシアナを内服中であった.左橈尺骨遠位端骨折術後に対し抜釘を施行した.術後5日目に左前腕の疼痛が出現し,急速に疼痛・腫脹が増大した.超音波・造影CTで左橈骨動脈に仮性動脈瘤を認めたため,血行再建術を行なった.【症例2】14歳女性.左脛骨遠位端骨端線損傷術後に対し抜釘術を施行した.術後,左足関節の腫脹・疼痛が遷延し,歩行困難であった.術後6日目に超音波で左足背動脈に仮性...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 4; pp. 805 - 807
Main Authors 土田, 徹, 川添, 泰弘, 宮﨑, 眞一, 池田, 天史, 二山, 勝也, 武藤, 和彦, 笹岡, 眞光, 湯本, みずほ, 片山, 修浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.805

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Summary:【はじめに】医原性の血管損傷は稀ではあるが,大腿骨近位部骨折や人工膝関節置換術後に生じた仮性動脈瘤の報告は散見する.今回我々は,骨折術後に生じた仮性動脈瘤の症例を2例経験したため,報告する.【症例1】84歳女性.心房細動に対してリクシアナを内服中であった.左橈尺骨遠位端骨折術後に対し抜釘を施行した.術後5日目に左前腕の疼痛が出現し,急速に疼痛・腫脹が増大した.超音波・造影CTで左橈骨動脈に仮性動脈瘤を認めたため,血行再建術を行なった.【症例2】14歳女性.左脛骨遠位端骨端線損傷術後に対し抜釘術を施行した.術後,左足関節の腫脹・疼痛が遷延し,歩行困難であった.術後6日目に超音波で左足背動脈に仮性動脈瘤を認めたため,血管結紮術を行なった.【考察】四肢骨折手術で駆血を使用する場合,血管損傷に気付きにくい.術後の不自然な疼痛や腫脹がある場合,術中の血管損傷が明らかでなくても仮性動脈瘤を疑う必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.805