動脈再建を要した膝複合靭帯損傷の一例

我々は動脈再建を要した膝複合靭帯損傷の1例を経験した.16歳男性,主訴は左膝痛,友人に左膝の上に乗られて受傷.近医受診20時間後に,左下肢痛増悪し当院紹介.左膝は疼痛にて自動運動不能,下腿は緊満感を認めコンパートメント内圧は全区画高値で単純X線では骨傷はなかった.左下腿コンパートメント症候群の診断として当日緊急で減張切開を行った.同日,造影CT・血管造影にて左後脛骨動脈近位部損傷を認めたが,下肢血流が温存されていたため血管外科と相談の上で保存的に観察した.後日MRIではACL,PCL,MCL,LCL損傷を認めた.その後下肢血流は徐々に悪化したため,第5病日に左膝動脈バイパス再建とイリザロフ創外...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 3; pp. 461 - 464
Main Authors 伊藤, 康志, 村田, 雅和, 古市, 格, 太田, 真悟, 新見, 龍士, 前原, 史朋, 小河, 賢司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.461

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Summary:我々は動脈再建を要した膝複合靭帯損傷の1例を経験した.16歳男性,主訴は左膝痛,友人に左膝の上に乗られて受傷.近医受診20時間後に,左下肢痛増悪し当院紹介.左膝は疼痛にて自動運動不能,下腿は緊満感を認めコンパートメント内圧は全区画高値で単純X線では骨傷はなかった.左下腿コンパートメント症候群の診断として当日緊急で減張切開を行った.同日,造影CT・血管造影にて左後脛骨動脈近位部損傷を認めたが,下肢血流が温存されていたため血管外科と相談の上で保存的に観察した.後日MRIではACL,PCL,MCL,LCL損傷を認めた.その後下肢血流は徐々に悪化したため,第5病日に左膝動脈バイパス再建とイリザロフ創外固定を行った.創外固定抜去後,膝不安定性が強く,第106病日に複合靭帯損傷に対してPCL,ACL同時再建施行した.歩行状態は安定し日常生活に支障のない状況にまで回復した.膝関節脱臼や複合靭帯損傷の場合,動脈損傷に注意が必要で積極的にドップラー検査,動脈造影を行うことが必要と思われた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.461