乳がんの多発骨転移に対してデノスマブを投与中に生じた両側非定型大腿骨骨折の1例
【背景】がん骨転移に対するデノスマブ投与により非定型骨折を発症する可能性がある.【症例】60歳女性.25年前より乳がんに罹患し,5年前より多発骨転移に対しデノスマブを投与されていた.3年前に誘因なく両大腿部痛を自覚し,次第に増強,歩行困難となった.2年前に主科外来受診時,全身単純CT撮影で両側非定型大腿骨不全骨折を指摘され,当科紹介された.手術は,両側の髄内釘固定を行った.術翌日より全荷重にて歩行訓練を開始した.骨折部にはLIPUSで治療を行った.デノスマブは中止し半年間のロモソズマブ投与を行った.術後4週で疼痛は改善し,杖歩行も安定した.術後4か月で骨癒合が得られた.術後2年,独歩可能である...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 4; pp. 686 - 690 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.72.686 |
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Summary: | 【背景】がん骨転移に対するデノスマブ投与により非定型骨折を発症する可能性がある.【症例】60歳女性.25年前より乳がんに罹患し,5年前より多発骨転移に対しデノスマブを投与されていた.3年前に誘因なく両大腿部痛を自覚し,次第に増強,歩行困難となった.2年前に主科外来受診時,全身単純CT撮影で両側非定型大腿骨不全骨折を指摘され,当科紹介された.手術は,両側の髄内釘固定を行った.術翌日より全荷重にて歩行訓練を開始した.骨折部にはLIPUSで治療を行った.デノスマブは中止し半年間のロモソズマブ投与を行った.術後4週で疼痛は改善し,杖歩行も安定した.術後4か月で骨癒合が得られた.術後2年,独歩可能である.【結語】がん骨転移に対して骨関連事象(SRE)発現リスク低減目的にデノスマブが広く使用されるが,長期間投与の症例において大腿部痛の訴えがある場合は非定型骨折の可能性を視野に入れるべきである. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.72.686 |