母指中手骨骨端離開の1例

母指中手骨骨端離開で徒手整復不能があり観血的治療を行った1例を報告した.症例は9歳男児.サッカーボールが右母指にぶつかり受傷.同日当科を受診し,母指基部の腫脹,運動時痛を認め,X線で母指中手骨骨端線離開Salter-Harris type Ⅱ, O'Brien分類typeCと診断した.徒手整復を試みたが整復不能であった.5日後,全身麻酔下に再度徒手整復を試みたが不能であったため観血的治療を行った.骨折部は内方凸の変形をしており,骨膜により整復が障害され,いわゆる骨膜管脱臼の病態を呈していた.骨膜を切開し整復は可能となりK鋼線でcross pinningを行った.術後1年で変形治癒なく...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 3; pp. 606 - 609
Main Authors 吉田, 健治, 志波, 直人, 白石, 絵里子, 神保, 幸太郎, 國武, 真史, 井上, 貴司, 中村, 英智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.606

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Summary:母指中手骨骨端離開で徒手整復不能があり観血的治療を行った1例を報告した.症例は9歳男児.サッカーボールが右母指にぶつかり受傷.同日当科を受診し,母指基部の腫脹,運動時痛を認め,X線で母指中手骨骨端線離開Salter-Harris type Ⅱ, O'Brien分類typeCと診断した.徒手整復を試みたが整復不能であった.5日後,全身麻酔下に再度徒手整復を試みたが不能であったため観血的治療を行った.骨折部は内方凸の変形をしており,骨膜により整復が障害され,いわゆる骨膜管脱臼の病態を呈していた.骨膜を切開し整復は可能となりK鋼線でcross pinningを行った.術後1年で変形治癒なく経過し,術後8年で明らかな成長障害はなかった.母指中手骨骨端離開の整復不能の原因が軟部組織や骨膜の介在によるものとの報告はあるが詳細に言及したものはない.母指中手骨骨端離開の整復不能例の中には,骨膜管脱臼の病態を呈しているものが含まれていると推測された.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.606